...モンテ・ファルコの山は平野から暗い空に崛起(くっき)しておごそかにこっちを見つめていた...
有島武郎 「クララの出家」
...九十の老齢で今なお病を養いつつ女の頭領として仰がれる矢島楫子刀自(やじまかじことじ)を初め今は疾(とっ)くに鬼籍に入った木村鐙子(とうこ)夫人や中島湘烟(なかじましょうえん)夫人は皆当時に崛起(くっき)した...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...かかる折から卒然崛起(くっき)して新文学の大旆(たいはい)を建てたは文学士春廼舎朧(はるのやおぼろ)であった...
内田魯庵 「四十年前」
...市街中に崛起せる觀音山にのぼれば...
大町桂月 「常磐の山水」
...もとの路を取りて、昨夜野宿せし跡を左に見下し、前に見し北鎮岳を左にし、終に後にして、雲の平を南に下れば、熊ヶ岳崛起して、十町四方の火口を控えたり...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...一 五戸本州の北に盡きむとする處、八甲田山崛起し、その山脈南に延びて、南部と津輕とを分ち、更に南下して、東海道と北陸とを分ち、なほ更に西に曲りて、山陽道と山陰道とを分つ...
大町桂月 「十和田湖」
...崛起せる丘上、千年の老杉森々として、神さび立てる一宇の古龕、神鈴音なく、樓門の矢大臣も寂しげなり...
大町桂月 「北總の十六島」
...葛籠岩崛起して、その岩脈、朝日嶽に連なる...
大町桂月 「妙義山の五日」
...此嶺(たふげ)うちこし四里山径(やまみち)隆崛(りうくつ)して数武(すぶ)も平坦(へいたん)の路を践(ふま)ず浅貝(あさかひ)といふ駅(えき)に宿(やど)り猶(なほ)○二居嶺(ふたゐたふげ)(二リ半)を越(こえ)て三俣(みつまた)といふ山駅(さんえき)に宿し...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...曰く、古老伝曰、此山麓乗馬里有二老翁一、愛レ鷹、嬢飼レ犬、後作レ箕為レ業竹節間得二少女一、容貌端厳、光明烈耀、爰桓武天皇御宇、延暦之此、諸国下二宣旨一、被レ撰二美女一、坂上田村麿為二東国勅使一、富士裾老翁宅宿、終夜不レ絶二火光一、問二子細一、是義女光明也云、田村麿即上洛奏レ之、於レ是少女登二般若山一、入二巌崛一畢、帝幸二老翁宅一、翁奏二由緒一、帝悲泣、脱二帝玉冠一、留レ此処一登二頂上一、臨二金崛一、少女出向微笑曰願帝留二此、帝即入レ崛訖、玉冠成レ石在二于今一、彼翁者愛鷹明神也、嬢飼犬明神也巳上、今考レ之、云二当山縁起之一上者、仰雖レ可レ信二用之一、時代甚不レ審也、疑若天智天皇歟、彼帝近江宮にて崩玉うといえ共実は不レ然、白地に御馬に召て出まして、隠玉所をしらず...
高木敏雄 「比較神話学」
...富士の金崛に入玉うは...
高木敏雄 「比較神話学」
...幸田露伴(こうだろはん)の崛起(くっき)した時代で...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...崛起(くっき)して第一のものを覆す...
辻潤 「錯覚自我説」
...極度に不毛の丘陵が崛起(くっき)」している...
中谷宇吉郎 「『西遊記』の夢」
...余は群雄の崛起(くっき)をもってむしろ小盗の屏息を促すものだと考える...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...耆闍崛山(ぎしゃくつせん)とするは『涅槃経後分』に基づき...
南方熊楠 「十二支考」
...いまなお播州の一地方に崛踞(くっきょ)している者の妄(もう)と無能をあわれむような...
吉川英治 「黒田如水」
...ほとけ王舎城の耆闍崛(ぎしゃくつ)山中に菩薩...
吉川英治 「宮本武蔵」
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