...もう五分霧の晴れるのがおくれたならば! 船自身が魂でもあるやうに驚いて向きをかへなかつたならば! この惡魔のやうな峭壁は遂に船をかみくだいてたに違ひないのだ...
有島武郎 「潮霧」
...さるに、梅花の頃は、春寒料峭たり...
大町桂月 「久地の梅林」
...断崖峭壁(しょうへき)で囲繞(いにょう)されているのでその本体を見ることが出来ぬ...
高頭仁兵衛 「平ヶ岳登攀記」
...それは峨々(がが)たる峭壁(しょうへき)があったり岩を噛(か)む奔湍(ほんたん)があったりするいわゆる奇勝とか絶景とかの称にあたいする山水ではない...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...春寒料峭ともいぶ(マヽ)きか...
種田山頭火 「松山日記」
...何んな奇峭な光景があつたにしても...
田山録弥 「あちこちの渓谷」
...最も才氣峻峭なる壯年政治家なりと...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...餘寒料峭...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...而シテ東山ノ清秀温雅ニシテ峻ナラズ峭ナラズ望ンデ愛ス可ク登テ樂ム可キガ若キ者ハ世ニ其匹ヲ罕トス...
永井荷風 「十年振」
...春寒料峭たり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...春寒料峭...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...氏の表現は奇峭であり...
中島敦 「鏡花氏の文章」
...瀧の側に立つて仰いで見ると峭壁の上部からさし出た槭の枝が疾風に吹き撓められるやうに止まずさわ/\と動いて居る...
長塚節 「松蟲草」
...この冷峭寂寥の大峡谷の一隅を...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...手の平程の奧に料峭(れうせう)たる星の影がきらりと光を放つた時...
夏目漱石 「京に着ける夕」
...いよいよ出でていよいよ奇峭極まりなく――...
牧野信一 「月評」
...とにかく彼も一種の奇峭(きしょう)な性格である...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...そそり立っている岩峭(がんしょう)に打(ぶ)つかってくる冷たい風と...
吉川英治 「源頼朝」
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