...さうして内容と實力とは尨大なる自意識の薄暗い下蔭に日の目を見ぬ草のやうに影の薄い朝夕を送つて行く...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...空の帝王と呼ばれる途方もなく尨大(ぼうだい)な全鋼鉄の怪物で...
海野十三 「空襲葬送曲」
...田中正造の演説は尨大であるとして人が聴かぬからよろしいといって...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...終にはその尨大なる黒き姿を留(とゞ)むるのみになりぬ...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...尨大(ぼうだい)なその原稿のまだ手を入れない部分の少しも減って行かないのを見ると...
徳田秋声 「黴」
...尨大なその寝台車が路傍樹の片蔭に用意されてあつた...
徳田秋聲 「老苦」
...不幸にして憲政黨の組織餘りに尨大なりしが爲に...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...人類理想史という尨大な著述で...
豊島与志雄 「人の国」
...されどこれらの新作さして評壇の問題とならず雑誌はまた徒(いたずら)に尨大なるのみにて一貫せる主張といふものなく甚締りなしとの非難ありき...
永井荷風 「書かでもの記」
...はろかに思をはせてよみはべりけるまうですと吾行くみちにもえにける青菜はいまかつむべからしもいつしかも日はへにけるかまうで路のくまみにもえし菜はつむまでに投左のとほさかり居て思はずは青菜つむ野をまた行かむもの青雲の棚引くなべに目(ま)かげさし振放見ればみやこはとほし明治三十六年狂體十首萬葉集の尨大なる作者もさま/″\に...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...我々の意識の内容を構成する一刻中の要素は雑然尨大(ぼうだい)なものでありまして...
夏目漱石 「創作家の態度」
...其の尨大(ばうだい)な山容と...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...彼の尨大(ぼうだい)な著作全集を見せて言った...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...有志の任意の慈善行為に費された尨大な金額と相俟って...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...この尨大な記録類の中に入ってつくづく思ったのは...
柳田国男 「故郷七十年」
...北は沿海州から尨大な西部チベツト一帶を――南はアフガニスタン...
吉川英治 「折々の記」
...青州徐州の境から官渡(かんと)の難所にいたるまでの尨大(ぼうだい)な陣地戦は...
吉川英治 「三国志」
...探偵小説界最初の年鑑ともいうような二百三十余頁の尨大号を出すなど...
蘭郁二郎 「休刊的終刊」
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