...行手の堤の蔭には不格好に尨大な黒ずんだ建物がごつちやになつて平らな麥畑の中に建つてゐた...
有島武郎 「幻想」
...三人はひとしきり麻痺したように佇んで、驚きと、畏敬と、賛美と、恐怖のまじった心で、この尨大な、光る氷の宝石を眺めた...
妹尾韶夫 「凍るアラベスク」
...議会は満場一致で尨大(ぼうだい)の戦費を可決し...
太宰治 「惜別」
...尨大なその寝台車が路傍樹の片蔭に用意されてあつた...
徳田秋聲 「老苦」
...ミルハは尨犬(むくいぬ)だった……いや...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...人類理想史という尨大な著述で...
豊島与志雄 「人の国」
...はろかに思をはせてよみはべりけるまうですと吾行くみちにもえにける青菜はいまかつむべからしもいつしかも日はへにけるかまうで路のくまみにもえし菜はつむまでに投左のとほさかり居て思はずは青菜つむ野をまた行かむもの青雲の棚引くなべに目(ま)かげさし振放見ればみやこはとほし明治三十六年狂體十首萬葉集の尨大なる作者もさま/″\に...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...一(ひと)たび双眼鏡をかけると大きな尨大(ぼうだい)なものが奇麗(きれい)に縮まって眸裡(ぼうり)に印するようなものであります...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...言語も彼の顔面のごとく平板尨大(へいばんぼうだい)である...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...その尨大な、奇妙な顔は全体が黒豆の粒々で出来上つてゐるやうであつた...
原民喜 「夏の花」
...飼主のない尨犬のやうに...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...両側の店先には大きな尨犬(むくいぬ)や...
槇本楠郎 「文化村を襲つた子供」
...有志の任意の慈善行為に費された尨大な金額と相俟って...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...一週の授業時間四十時間その上に尨大な資料の整理をするのだから...
武者金吉 「地震なまず」
...最高第一等の閑事業と見られている能……非常に尨大で...
夢野久作 「能とは何か」
...ここでは尨大の外何があるのか...
横光利一 「欧洲紀行」
...青州徐州の境から官渡(かんと)の難所にいたるまでの尨大(ぼうだい)な陣地戦は...
吉川英治 「三国志」
...そこでも尨大(ぼうだい)な工事をやらせていた...
吉川英治 「新書太閤記」
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