...尤も僕の原稿料は一週間の滞在費にも足りないものだつた...
芥川龍之介 「歯車」
...尤も模倣などと放言すると...
芥川龍之介 「僻見」
...尤もこのことは、本家の兄や姉たちも雪子一人をさえ持て余しているくらいで、さしあたり妙子を呼び寄せる意志はないらしいと云うことを、いつぞや雪子も云っていたのであるが、今日となっては、たとい本家が呼び寄せようとしても、恐らく妙子はそれに応じないであろうと思えた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...尤もその時になってみると阿曽の手前や世間の眼もあってそうは出来にくいにしてからが...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...尤も、こうした哲学が実は却って、一定の産業組織や一定の技術独占者にとって保護され保証されているという事実は、全く現実的な実際問題なのだが、この種の哲学は之を気にかける必要を認めないのである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...尤も故犬養総裁に就いての恩讐などはもう卒業して...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...座標とかその原点とかは尤も...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...尤も×××××は×××イデオロギーであって...
戸坂潤 「思想としての文学」
...今や空間は主観的でなければならないという主張の一つ――恐らく最も尤もらしく見えた――は否定された...
戸坂潤 「範疇としての空間に就いて」
...尤も、酔狂の上のことで、千代子が笑って見ていたほどふざけたものだったが、それでも私が一押しすると、彼はよろよろとくじけて、千代子の肩にすがり、その花模様の膝にすべり落ちた...
豊島与志雄 「死ね!」
...用心と――」「御尤もの儀」「勘定...
直木三十五 「南国太平記」
...――尤も斬つたのは浪人乍(なが)ら歴(れつき)とした武家で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤も娘のお島は氣が付いて居たことだらう」「へエ」「辨次が槍を持出して物置に置くと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤もお店からは近いので...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤も、品吉は十六と言つても、ひどく子供つぽい、扱ひ難(にく)い子なんださうです」「?」「いざといふ時、眉毛を濕(しめ)されると、全身に身顫(みぶる)ひが走りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤も『落葉』とは異つた現はし方を試みる心算だが...
菱田春草 「画界漫言」
...尤も映画と併立なのがいけないのだらうが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...尤も、高田保氏の病気見舞に行ったら、病人が坐り直して、『あれは君、どうしても、七、八年仕事だよ、頑ばって、少くも六、七年は書き給え』と、途中でべんたつされたことはありましたがね...
吉川英治 「小説のタネ」
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