...心を寄するものも漸く尠(すくな)くなりて...
高山樗牛 「瀧口入道」
...その一方でそれを客観したり反省したりするものの尠(すくな)いのは遺憾だと私は思ふ...
田山録弥 「半日の閑話」
...その恋せる女を競争者の手から父親の手に移したことは尠(すくな)くとも愉快であった...
田山花袋 「蒲団」
...芸術的価値の甚だ尠(すくな)い和歌には一向こういうものが現われないが...
津田左右吉 「偶言」
...尠くともそれだけではあるまい...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...同じ通詞としてこのときはたらいた堀達之助にくらべても表だつた記録が尠いやうだ...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...その六代目通詞目付を襲ぐことは出來なかつたとしても尠くとも通辭的公職から身を退いたも同然となるやうな結果は考へにくい...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...日本のインテリゲンチャの内には決して尠くない...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...「ソフィスト」の樣に世間に行はれて居る倫常を馬鹿にするといふ樣な態度は尠いのである...
朝永三十郎 「懷疑思潮に付て」
...国芳の門人中(芳幾(よしいく)芳年(よしとし)芳虎等)明治に入(い)りてなほ浮世絵の制作をつづけしもの尠(すく)なからざれども...
永井荷風 「江戸芸術論」
...丸本には類例もとより尠しとせず...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...寒月に援(たす)けを与える便宜(べんぎ)は尠(すくな)かろう...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...また西洋の哲学で先生の手によって初めて我が国に紹介されたものも尠(すくな)くない...
三木清 「西田先生のことども」
...貧乏であったが健康で怒ることの尠い妻だった母を見て来たのだと思うと...
宮本百合子 「海浜一日」
...駿介が志村に反撥した時代、自分のからから動き出した原因、それらは極めて曖昧であり、現実に駿介のような存在は、尠いでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そのほうの収益(みいり)も尠(すくな)くない...
吉川英治 「魚紋」
...尠(すく)なからず気を遣(つか)ったところである...
吉川英治 「新書太閤記」
...この家に帰ったルパンは女工風の女が一時間も前から尋ねて来て待っておると聞いて尠(すくな)からず驚いた...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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