...職務上不便を感ずること尠(すくな)からざる由を喞(かこ)てども...
泉鏡花 「活人形」
...尠(すくな)くとも生命のなかばは季題である...
高浜虚子 「俳句への道」
...尠(すくな)くとも仏者の道に加うるに儒者の道であったのであろうと考える...
高浜虚子 「俳句への道」
...尠(すく)なくとも十万ペセタ以上の値段は当然であろうと考えさせていた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...別段何にも仰言(おお)せられずただ言葉尠(すくな)に書記官と一緒に大使のところへ行って来るが一時間ばかりもしたら用談が済むからその時分に車を迎えに寄越すようにと言い残されたまま...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...彼らが北斎に払ひし驚愕的称賛の辞は単に北斎一人(いちにん)のみに留(とど)まらず日本画全体に及ぼして然(しか)るべきもの尠(すくな)からず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...崖は閑地や路地と同じようにわが日和下駄(ひよりげた)の散歩に尠からぬ興味を添えしめるものである...
永井荷風 「日和下駄」
...我々よりも尠くも形の上では楽天的である...
中原中也 「詩と其の伝統」
...月の詩が甚だ尠なくなつた...
萩原朔太郎 「月の詩情」
...尠くないのである...
牧逸馬 「土から手が」
...隣組の責任者の用事も尠(すくな)くないわけです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...昔とても決して尠(すく)なくはなかった...
柳田国男 「木綿以前の事」
...口数の尠(すくな)い御仁(おひと)で御座いました...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...実際の生殖生活から遠ざかる男女は極めて尠(すくな)いことであろうと想像します...
与謝野晶子 「「女らしさ」とは何か」
...それには忠房の顔にも尠(すく)なからぬ不安の影が漂(ただよ)いはじめた...
吉川英治 「剣難女難」
...また味方のうちにすら嫉視(しっし)の輩(はい)も尠なくない――いわゆる人生の嶮路(けんろ)にさしかかっている彼として――竹中半兵衛を恃(たの)むことはなおさら切実であった...
吉川英治 「新書太閤記」
...後あらためて坂本附近の――地理的にも安土のすぐ側にある――この要地は蘭丸へ下されるものではないかと観察している者も決して尠なくない...
吉川英治 「新書太閤記」
...尠くとも君は悪い人間ではないらしい...
蘭郁二郎 「植物人間」
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