...彼方の山腹の尖りたるところにネミの市あり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...長い円錐のように尖りきった全身の神経を聴覚にあつめた...
海野十三 「放送された遺言」
...頂上の尖りたる處に...
大町桂月 「金華山」
...完全なる三角形に尖り...
大町桂月 「冬の榛名山」
...三十幾歳の血気盛りなるべき頃からして既に彼は――ツワイクの描くところに依れば――殆ど亡霊のように痩せこけて骨と皮ばかりの肉体、角ばった線の見えるいやらしい細面、鼻は尖り、閉じたっきりの口は薄く狭く、重くて眠そうな眼瞼の下には魚のような冷い眼があり、猫のような灰色の瞳孔は硝子球のようであり、この顔の一切の道具、この男の一切のものが、いわば栄養不良で、まるで瓦斯灯に照らされたように蒼ざめて見える...
豊島与志雄 「砂漠の情熱」
...何か疑獄の記事が出てはゐまいかと自づからその方へ神経が尖り出すのであった...
原民喜 「蠅」
...尖り顔の薄い唇の男です」「ハースコートです...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...また大いに尖り出て高いものもある...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...葉は跨状式を成して出で剣状広線形で尖り鮮緑色を呈して平滑である...
牧野富太郎 「植物記」
...その形ち常に狭長にして末尖り辺縁渋す...
牧野富太郎 「植物記」
...栗はまだ枝々の尖りが眩しかつたり...
室生犀星 「愛の詩集」
...聲ばかり尖り出した喧嘩などが初まつてゐた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...顴骨(かんこつ)ばかり尖り...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...かみさんのみさおは痩せた小づくりな躯で、顔も細く、頬骨が尖り、落ちくぼんだ眼はいつも、きらきらと、好戦的に光っていた...
山本周五郎 「季節のない街」
...「あの男の云うことなんかに構うことないわ」と尖り声で云つた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...理髮師の手でさき尖りに刈られてあつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...みつちりと樹木の立ち込んだ峯のところ/″\に恰も鉾を立てた樣に森から露出して聳え立つた岩の尖りがある...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
...三つ四つ峰の尖りの集り聳えた空に...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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