...が凝視(みつ)める瞳で、やっと少しずつ、四辺(あたり)の黒白(あいろ)が分った時、私はフト思いがけない珍らしいものを視(み)た...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...この本能は一代ごとに少しずつ確かに退化して行くから...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...この小説は唄いながら少しずつすすめてゆこう...
太宰治 「猿面冠者」
...座敷毎に少しずつ地色は違うけれども...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...いつも聖書(バイブル)を少しずつ読むことにしていますの...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...佐々木の旦那様もお越しになりまして――」甚七は少しずつ糸がほぐれて来たように感じたが...
直木三十五 「新訂雲母阪」
...(同じ死ぬなら、いっそ)と、自棄な気持が、少しずつ、強くなってきた...
直木三十五 「南国太平記」
...少しずつ移住の賛成者も殖(ふ)えているらしく思われた...
本庄陸男 「石狩川」
...それから牛乳を少しずつ注(さ)して行(いっ)てパセリを細(こまか)く刻んで入(いれ)て塩胡椒で味をつけて好(い)い加減な固さになった時ブリキ皿へ盛って上を夷(なら)してバターを少し載せてパン粉を振りかけてテンピで二十分ほど焼くのです」中川「マアその通りですけれども今日のは上等にして鯛の身と海老の身の湯煮たのとを加えてあります...
村井弦斎 「食道楽」
...そのつもりで少しずつ味ってくれ給え」と謂(いわ)れを聞けば大原も一口に飲み難(がた)し「なるほど...
村井弦斎 「食道楽」
...私たちは乏しい財布の中から少しずつ品物を加えていった...
柳宗悦 「民藝四十年」
...手習いの子供らに少しずつ漢籍を教えたために...
柳田国男 「故郷七十年」
...起源は少しずつちがっているかも知らぬが...
柳田国男 「こども風土記」
...どれもこれも皆少しずつふざけている...
柳田国男 「年中行事覚書」
...少しずつ裏面(うら)の紙を引き剥(は)いで壊れた幻燈の眼鏡(めがね)で糸の配りを覗いては...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...密男のように少しずつたしなむことで慰めているのである...
吉川英治 「河豚」
...この巾着の中にある砂金を少しずつ費(つか)え)といわれていたのを思い出し...
吉川英治 「宮本武蔵」
...その日の真夜中頃からやっと少しずつ息が強くなって...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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