...おしずとおゆうさんとの違いは何よりもおしずにそういう芝居気のないところにあったと申しますのでござりまして裲襠(うちかけ)を着て琴をひいたり小袖幕(こそでまく)のかげにすわって腰元に酌をさせながら塗りさかずきで酒をのむような芸当はお遊さんでなかったら板につかないのでござりました...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...偶(たま)には小袖幕(こそでまく)から呼込まれるやうな都合にならないものでもあるまいと思つてやつて來ると――」「馬鹿野郎...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...広庭のかなたに小袖幕をかけまわした席が設けてあり...
山本周五郎 「日本婦道記」
...掛けつらねた小袖幕と...
山本周五郎 「日本婦道記」
...あの小袖幕の向うにはきっと母も聴きに来ている筈だよ」そんなにお石の琴が評判になっていたのか...
山本周五郎 「日本婦道記」
...さんざめく小袖幕のかからぬ所はない有様...
吉川英治 「剣難女難」
...ここの山門で小袖幕を張らせ...
吉川英治 「私本太平記」
...小袖幕のうちにかくれると...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――胴の間(ま)の彼方で、小袖幕を囲って、最前から、「うんすん骨牌(かるた)」という博戯(あそび)に千金を賭けて、夢中になっていた阿波、堺(さかい)、大坂あたりの商人(あきんど)たちが、「札(ふだ)が足らない」「どこへ飛んだのじゃ?」「そっちを見ろ」「いや、こっちにもない」敷物を払って騒いでいたが、そのうちの一人が、ふと、大空を仰いで、「やっ、小猿めが! あんなところへ!」高い帆柱の上を指さして、頓狂なさけびをあげた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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