...絶えず小心な彼の気分を掻乱(かきみだ)してゐたのである...
芥川龍之介 「枯野抄」
...小心なる精神的宦官は何とでも非難を加へるが好い...
芥川龍之介 「僻見」
...私の周囲のものは私を一個の小心な...
有島武郎 「小さき者へ」
...人間としては正直すぎる程正直で小心な四十男を選ぶ...
石川欣一 「山を思う」
...吾人の自負は未だ舞台の広大なるに眩目(げんもく)する程に小心ならざる也...
石川啄木 「閑天地」
...隱居の勘解由(かげゆ)はもう六十の阪を越して體も弱つてゐるが、小心な、一時間も空(むだ)には過されぬと言つた性(たち)なので、小作に任せぬ家の周圍の菜園から桑畑林檎畑の手入、皆自分が手づから指揮して、朝から晩まで戸外に居るが、その後妻のお兼とお柳との仲が兎角面白くないので、同じ家に居ながらも、信之親子と祖父母や其子等(信之には兄弟なのだが)とは、宛然(さながら)他人の樣に疎々(うと/\)しい...
石川啄木 「鳥影」
...でないと、万一、間違った意見を述べましたため、銃殺にあいましては、小官は迷惑をいたしますので……」「ふん、小心な奴じゃ...
海野十三 「二、〇〇〇年戦争」
...小心な(からす)が重そうに羽ばたきをして...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...小心な庸三は心配になった...
徳田秋声 「仮装人物」
...彼何(な)んぞかくの如く小心なる...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...「弟もやつぱり小心な...
中原中也 「その頃の生活」
...何ごとについても明白なる意思を発表するものは神経質かあるいは小心なる厄介者(やっかいもの)である...
新渡戸稲造 「自警録」
...自分のやうな小心なものは發狂してしまふに違ひないと思つた...
林芙美子 「雨」
...兎もあれ案外に小心な彼は...
牧野信一 「老猾抄」
...しかれども余は磊落高潔なる蕪村を尊敬すると同時に、小心ならざりし、あまり名誉心を抑え過ぎたる蕪村を惜しまずんばあらず...
正岡子規 「俳人蕪村」
...謙虚な小心な愛で愛している...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...妻の辰子の媚弄(コケテイカル)な性格と彼の小心な性格との組み合せの中に潛んでゐたのだと思ふとなほ彼は恐ろしくなつて來た...
横光利一 「悲しみの代價」
...小心な呂宋兵衛(るそんべえ)が...
吉川英治 「神州天馬侠」
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