...その姿の優しいこと、気高いこと、尊いこと、清いこと、この水に向うて立ちますと、人膚(ひとはだ)が背後(うしろ)から皮を透(とお)して透いて見えます位、急にも流れず、淀(よど)みもしませず、浪(なみ)の立つ、瀬というものもござりませぬから、色も、蒼(あお)くも見えず、白くも見えず、緑の淵(ふち)にもなりませず、一様に、真(ほん)の水色というのでござりましょ...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...尊い川もござりまする...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...自分はつくづく尊いと思った...
伊藤左千夫 「落穂」
...いつ知らず――しかし登志子は叔父の狡滑な手にかかって尊い自己を彼の生活の犠牲に葬られさろうとしていた...
伊藤野枝 「わがまま」
...世に實物を見たり聞いたりすることの尊い價値をはつきりと思つた...
今井邦子 「佛法僧」
...一五 天皇がその位におつきになる尊い宮殿のように...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...さっさと尊いお方の直接のお言葉のままに出帆する...
太宰治 「パンドラの匣」
...単純な人って、尊いものだね...
太宰治 「パンドラの匣」
...彼もやはりその尊い辛苦をほしがったであろう...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...獨斷の學問の尊いことを頻りに主張してゐる...
内藤湖南 「章學誠の史學」
...一人の尊い生命をこそ助けねばならぬ...
永井隆 「長崎の鐘」
...凛々と聖なる歌と尊い祈りの声が...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...尊い玉ででもあるかのように両手で捧げ持っている敬虔なようすも...
久生十蘭 「キャラコさん」
...関矢一郎さんの尊い魂は...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...「尊い王様...
宮原晃一郎 「孝行鶉の話」
...この男にもこのように尊い決意があったのかと思し召されて彼をゆるされたのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...尊い人々の遺骨や遺物を我々は尊重し礼拝して来ました...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...尊いかな、一秒の時間...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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