...義雄はたツた一圓を封じて送つてやつた切りだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...そこには家に伝わる財宝の秘密が系図帳に封じこめられてあるという意味が記してあった...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...それにその旅費にもと云って金弐拾円の為替券(かわせけん)を封じ込んでよこした...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...めずらしいいろいろの花を封じ込めてやった...
田山花袋 「田舎教師」
...結婚という枠の中に封じこめられてしまうのだ...
豊島与志雄 「自由人」
...屁理屈や喧嘩は今晩一切封じちまうんだ...
豊島与志雄 「反抗」
...これについて面白い話は、嘉永六年にペルリが浦賀へ来た時分、アメリカの水兵どもがこの中身を飲んで、空罎をポンポン海の中へ捨てたものです、それが、こんなあんばいに海岸に流れつくと、浦賀あたりの役人がそれを見て、あれこそ毛唐(けとう)が毒を仕込んで、日本人を殺そうとの企(たくら)みで投げ込んだものだから、拾ってはならない、無断であの空罎を拾った者は、召捕りの上、重き罪に行うべしとあって、人を雇うて毎日流れついて来る無数の空罎を怖々(こわごわ)と拾わせ、これを空屋の中へ積込んで、厳重に戸締りをして置いたものだ」と言いながら、駒井は丁寧にこれを拾い、懐紙を抜き出して周囲(まわり)の海水を拭い、大切にこちらへ持ち帰りますから、「毛唐の飲みからしの空罎(あきびん)なんぞを拾って、何になさる」「見給え――この通り、厳重に封がしてあって、口に符号がつけてある」「それじゃ、まだ中身があるのですか」「中身といっても酒じゃない、酒は飲んでしまって、その空罎を利用して、中へ合図をつめて海に流したものです」「ははあ」「海流の方向を知るために、或いは何か通信の目的で、そうでない時は、単なる好奇心で罎の中へ、何事かの合図、或いは通信文を認(したた)めて、固く封じ込んで、海の中へ投げ込むと、これが漂い渡って、思わぬ人の手に拾い取られる、その拾い取った人は、投げ込んだ主(ぬし)に返事をしてやる――という仕組みになっている」「あ、そうですか、つまり、平康頼(たいらのやすより)の鬼界(きかい)ヶ島(しま)でやった卒塔婆流(そとばなが)しを、新式に行ったものですね...
中里介山 「大菩薩峠」
...犬の足跡に少し血のようなものが滲(にじ)んでいましたよ」「フム」平次は一ぺんに茶かし気分を封じられてしまいました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二つに折った封じ文が一通...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この女の放図(ほうず)もない声を封じました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...封じ目した手紙が...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...木箱を封じるとは妙だ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...「息子を世に立たせよう」という自身には封じられていた希望で...
宮本百合子 「新しいアカデミアを」
...壺に封じて砂糖を運んでくる世であったら...
柳田国男 「雪国の春」
...自分の法事のお菓子を喰べられる若先生――それを甥(おい)だと偽って吾が家に封じこめて女中同様にコキ使っているらしい鶴原子爵未亡人……そうしてあの美しい化粧室...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...君を荊州の刺史(しし)に封じておあげなさい...
吉川英治 「三国志」
...偏(へん)将軍に封じ...
吉川英治 「三国志」
...何の火か」見せにやると、その物見が見届けて来たはなしには、「木下殿の隊は、高岡城下の町屋へ火を放ち、池田隊は、手分けして、田や畑をふみあらし、穀倉を封じ、城内への通路へ柵(さく)を結(ゆ)い、すべて高岡城を繞(めぐ)るものを取払って、孤立にする作戦の下に働いています」とのことだった...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??