...此の荒寥たる光景を見て凄愴の感に打たれた...
高浜虚子 「落葉降る下にて」
...平生(ふだん)寂寥の田の中が急に賑わい盛るので...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...いよいよ身を切るばかりの寂寥(せきりょう)が襲ってきて...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...主人夫婦の急激な境遇変化に伴う寂寥(せきりょう)と不安とを如何ばかり慰めたか知れぬ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...庭一ぱいに寂寥(さびしさ)を咲(さ)く月見草の冷たい黄色の花をやゝ久しく見入った...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...寂寥へまで深まっていった...
豊島与志雄 「或る日の対話」
...絶え難い寂寥だが...
豊島与志雄 「聖女人像」
...どうすれば好いのか知らないかうして人間どもの生活する 荒寥の地方ばかりを歩いてゐよう...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...ああ汝 寂寥の人悲しき落日の坂を登りて意志なき斷崖を漂泊(さまよ)ひ行けどいづこに家郷はあらざるべし...
萩原朔太郎 「氷島」
...白い衣服の鮮人が二つ三つ其のあたりを徘徊する荒凉寂寥たる此の景色が所謂温泉場と思へようか...
濱田耕作 「温泉雜記」
...みんな嘘っぱちばかりの世界だった甲州行きの終列車が頭の上を走ってゆく百貨店(マーケット)の屋上のように寥々(りょうりょう)とした全生活を振り捨てて私は木賃宿の蒲団に静脈を延ばしている列車にフンサイされた死骸を私は他人のように抱きしめてみた真夜中に煤けた障子を明けるとこんなところにも空があって月がおどけていた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...滿目荒寥たる風物...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...救われる道がなく寥しい...
宮本百合子 「五月の空」
...わたくしがかくも寥(さび)しい松並木の道をおとずれるかについて...
室生犀星 「玉章」
...「半歳寥寥久抱痾...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...おろかしい 寂寥の手おまへは...
八木重吉 「秋の瞳」
...寂寥(せきりょう)たるバラック街に強盗が盛に横行した...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...彼逝(ゆ)いて寂寥(せきりょう)なき能(あた)わずじゃ」ここしばらくの間というもの...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索