...当時水茶屋で名高かったのは、薬研堀(やげんぼり)の初鷹、仲通りの寒菊、両国では森本、馬喰町四丁目の松本、まだ沢山ありましたが、多くは廃業しましたね...
淡島寒月 「江戸か東京か」
...障子外通る許(ばか)りや冬座敷寒菊に憐みよりて剪(き)りにけり一月三十日 「玉藻五句集(第八十二回)(第八十三回)」倉庫の扉(ひ)打ち開きあり寒雀(かんすずめ)二月五日 句謡会...
高浜虚子 「六百句」
...・さんざふる夜の蠅でつるみます・たゞ一本の寒菊はみほとけに・山茶花さいてお留守の水をもらうてもどる・誰かきさうな空からこぼれる枇杷の花・しぐれたりてりだしたりこゝそこ茶の花ちつて・冬蠅とゐて水もとぼしいくらし改作二句この柿の木が庵らしくするあるじとしてこゝにかうしてみほとけのかげわたしのかげ(晩課諷経)十一月廿六日徹夜...
種田山頭火 「其中日記」
...・おもふことなく枯木をひろひあるきつつ茶の花のちりしくところ寒菊の花・こちらがあゆめばあちらもうごく小春雲・すゝきをばながほほけたままに住みなれた・ゆふ月が...
種田山頭火 「其中日記」
...壺にしてあつた寒菊の白さがいつまでも眼に残つた...
種田山頭火 「其中日記」
...投げざしの水仙ひらいた周二居・むかへられてすはれば寒菊のしろさ十二月廿八日雪もよひ...
種田山頭火 「其中日記」
...寒菊のうつくしさ...
種田山頭火 「其中日記」
...さてもうらゝかな冬景色!寒菊のうつくしさ...
種田山頭火 「其中日記」
...黄いろい寒菊(かんぎく)の小さいのと趣(おもむき)に富んだ対照をなした...
田山花袋 「田舎教師」
...津田は正面に当る床の間に活立(いけたて)らしい寒菊の花を見た...
夏目漱石 「明暗」
...それを床(とこ)の間(ま)に活(い)けてある寒菊の花の上に落した...
夏目漱石 「明暗」
...侘しい寒菊が咲いてるのである...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...北豊島の郡(こおり)といへば、何となう『江戸名所図会』などみる心地して昔めかしく、寒梅、寒菊、福寿草その他春待つ花樹をひさぐ植木屋のいと多きも、寂しきこのごろの我がこゝろには、いたく和みぬ、されば一日そが果樹園に杖ひくうち、葉柊(ひいらぎ)に似て異国めき、名はわからねど植木屋もたゞ「西洋の、おめでたき草……」とのみよべる珍草あり、さして風情はあらざりしが、奇(めづら)しきまゝ求め来(きた)り、綺堂、岡本先生に贈り参らせたり...
正岡容 「滝野川貧寒」
...その寒菊が少し傾いて縄にもたれて居る工合は...
正岡子規 「病牀六尺」
......
山川登美子・増田雅子・與謝野晶子 「恋衣」
...林述斎曰く、桜の前の彼岸桜、牡丹の後の芍薬、カキツバタの後の花菖蒲、撫子の前の石竹、菊の後の寒菊、何れも品格は劣れども、又すて難くやとは、憲政会連が若槻首相を評する様に聞える...
南方熊楠 「きのふけふの草花」
...寒菊を圍うた庭もあり...
室生犀星 「星より來れる者」
...やはり桔梗の桔梗色、寒菊の白黄、臙脂、そのほか、千種の中に、日本人の皮膚と風土によくうつる祕色があるやうに、ぼくらには思はれる...
吉川英治 「折々の記」
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