...それは九日に手向けたらしい寒菊や南天の束の外に何か親しみの持てないものだった...
芥川龍之介 「年末の一日」
...・さんざふる夜の蠅でつるみます・たゞ一本の寒菊はみほとけに・山茶花さいてお留守の水をもらうてもどる・誰かきさうな空からこぼれる枇杷の花・しぐれたりてりだしたりこゝそこ茶の花ちつて・冬蠅とゐて水もとぼしいくらし改作二句この柿の木が庵らしくするあるじとしてこゝにかうしてみほとけのかげわたしのかげ(晩課諷経)十一月廿六日徹夜...
種田山頭火 「其中日記」
...・つかれてもどつてひなたの寒菊・いちにち風ふき誰もこない落葉する・悔いるこゝろに日がてり小鳥きてなくか・霜晴れ澄みわたるほどに散るは山茶花十二月四日冬ぐもり...
種田山頭火 「其中日記」
...壺にしてあつた寒菊の白さがいつまでも眼に残つた...
種田山頭火 「其中日記」
...投げざしの水仙ひらいた周二居・むかへられてすはれば寒菊のしろさ十二月廿八日雪もよひ...
種田山頭火 「其中日記」
...寒菊のうつくしさ...
種田山頭火 「其中日記」
...黄いろい寒菊(かんぎく)の小さいのと趣(おもむき)に富んだ対照をなした...
田山花袋 「田舎教師」
...津田は正面に当る床の間に活立(いけたて)らしい寒菊の花を見た...
夏目漱石 「明暗」
...それを床(とこ)の間(ま)に活(い)けてある寒菊の花の上に落した...
夏目漱石 「明暗」
...侘しい寒菊が咲いてるのである...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...机の上の青磁の花瓶に寒菊が二三本してある...
久生十蘭 「湖畔」
...其代り真夏にも寒菊が活(いけ)てあったりする...
二葉亭四迷 「平凡」
...北豊島の郡(こおり)といへば、何となう『江戸名所図会』などみる心地して昔めかしく、寒梅、寒菊、福寿草その他春待つ花樹をひさぐ植木屋のいと多きも、寂しきこのごろの我がこゝろには、いたく和みぬ、されば一日そが果樹園に杖ひくうち、葉柊(ひいらぎ)に似て異国めき、名はわからねど植木屋もたゞ「西洋の、おめでたき草……」とのみよべる珍草あり、さして風情はあらざりしが、奇(めづら)しきまゝ求め来(きた)り、綺堂、岡本先生に贈り参らせたり...
正岡容 「滝野川貧寒」
...その寒菊が少し傾いて縄にもたれて居る工合は...
正岡子規 「病牀六尺」
......
山川登美子・増田雅子・與謝野晶子 「恋衣」
...林述斎曰く、桜の前の彼岸桜、牡丹の後の芍薬、カキツバタの後の花菖蒲、撫子の前の石竹、菊の後の寒菊、何れも品格は劣れども、又すて難くやとは、憲政会連が若槻首相を評する様に聞える...
南方熊楠 「きのふけふの草花」
...寒菊を圍うた庭もあり...
室生犀星 「星より來れる者」
...寒菊(かんぎく)の...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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