...實は其の何とも寂然とした月夜なので...
泉鏡花 「遺稿」
...小さな家が殊に寂然として靜かだ...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...それは面壁禅定といった一種寂然とした姿であった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...盈尺の地を守つて寂然として聲なし...
高山樗牛 「人生終に奈何」
...内には寂然として聲なし...
高山樗牛 「瀧口入道」
...万物寂然として存在す...
種田山頭火 「其中日記」
...』しか宣すれば衆軍は皆寂然と鳴しづむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...寂然と鎮っていたのかも知れない...
外村繁 「日を愛しむ」
...昔ながらの石仏のやうに寂然と扶坐(ふざ)してゐる...
中勘助 「銀の匙」
...網のなかは寂然として音沙汰もない...
長塚節 「利根川の一夜」
...平次は眼をつぶって寂然と腕を拱ぬいているのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...灰を被ったように寂然と並んでいた...
松本泰 「日蔭の街」
...十八まだ明りも燈(とも)さず――墨(すみ)のような夜気(やき)をとざしたひと間に――かれは独り寂然と坐っていた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...サテ引上げようとその明るい街から出ようとすると丁度その出口に古びはてた三重の塔が寂然として立っていた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...寂然としてわれわれを見おろしている...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...その間に壁の白色が、澄み切った明らかさで、寂然と、沈黙の響きを響かせていた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...その間に壁の白色が、澄み切つた明らかさで、寂然と、沈黙の響を響かせてゐた...
和辻哲郎 「月夜の東大寺南大門」
...あの寂然と坐しあるいはたたずむ仏菩薩が...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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