...思想の胎兒を流産するの寂しさも...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...此寂しさを幾分なりとも少くするために...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...やるせない寂しさが胸にこみあげてきた...
伊藤左千夫 「落穂」
...おまへは寂しさうな古びた床机(しやうぎ)に這(は)ひあがつて...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...何のために血眼(ちまなこ)になって働いて来たか解らないような、孤独の寂しさが、心に沁拡(しみひろ)がって来た...
徳田秋声 「あらくれ」
...何か落し物でもしたような心寂しさを感じていた...
徳田秋声 「仮装人物」
...急に放たれたような安易な寂しさが...
徳田秋声 「爛」
...言い知れぬ寂しさとやるせなさが...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...いとしやいとしやこの身の影に鳴く蟲のねんねんころりと鳴きにけりたれに抱かれて寢る身ぞや眞實我身は獨りもの三十になるといふその事の寂しさよ勘平さんにはあらねどもせつぷくしても果つべきかても因業なくつわ蟲...
萩原朔太郎 「蟲」
...食堂やサロンなどではいつも無口で寂しさうな樣子をしてゐる...
堀辰雄 「エトランジェ」
...そのうちに漸(やっ)とはっきりと古い城かなんぞの中に自分だけで取り残されているような寂しさがひしひしと感ぜられて来た...
堀辰雄 「楡の家」
...今の彼らがこのように別れがたく思う寂しさに包まれたのであろう...
本庄陸男 「石狩川」
...お前に餘所見をさせないだけの愛がおれにないのだと自分を責めた……そして寂しさをこらへて來た……』私は身うごきができませんでした...
水野仙子 「道」
...「ひとり寝は君も知りぬやつれづれと思ひあかしのうら寂しさを私はまた長い間口へ出してお願いすることができませんで悶々(もんもん)としておりました」こう言うのに身は慄(ふる)わせているが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...心の寂しさを感ずるのはかういふ時である...
森鴎外 「妄想」
...十四で早くも詩集を手にして校庭の松蔭で寂しさうに考へ深さうに讀み耽つてゐるRちやんと...
横瀬夜雨 「女子文壇の人々」
...それがこれほど早く前の自分の姿を見る寂しさに変ろうとは...
横光利一 「旅愁」
...自分ひとりぐんぐん先へ先へと突き進んで行くような深まる寂しさだった...
横光利一 「旅愁」
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