...こう言う彼等の戯(たわむ)れはこの寂しい残暑の渚と不調和に感ずるほど花やかに見えた...
芥川龍之介 「海のほとり」
...辰子の寂しい顔が見えた...
芥川龍之介 「路上」
...半四郎君の出てゆく水の音が闇(やみ)に響いてカパンカパンと妙に寂しい音がする...
伊藤左千夫 「水籠」
...寧ろ衰殘そのものに對ひ合つた寂しい氣持だ...
薄田泣菫 「喜光寺」
...その句の描いている寂しい境地...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...松風の音の寂しい山門を出てからも...
徳田秋声 「あらくれ」
...近所の女の友達と一緒に蟋蟀(こおろぎ)を取ってあるいた寂しい石垣下の広い空地(あきち)の叢(くさむら)の香...
徳田秋声 「黴」
...薄曇りした晩秋の寂しい午後である...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...六 草は隠し雨は消し去るペール・ラシェーズの墓地の、共同埋葬所のほとり、その墳墓の都のりっぱな一郭から遠く離れ、永遠の面前に死の醜い様式をひろげて見せている種々工夫を凝らされた石碑の、立ち並んでる所から遠く離れ、寂しい片すみの、古い壁の傍(そば)、旋花(ひるがお)のからんだ一本の大きな水松(いちい)の下、茅草(かやくさ)や苔(こけ)のはえている中に、一基の石がある...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...世界一の原子野、この悲しい、寂しい、ものすごい、荒れた灰と瓦の中に踏みとどまって、骨と共に泣きながら建設を始めようじゃありませんか」「わしは罪人だから苦しんで賠償させてもらうのが何より楽しみです...
永井隆 「長崎の鐘」
...「お前と二人だけぢや寂しいんだが...
牧野信一 「或る日の運動」
...こつこつと寂しい山みちをよぢ登つて行くより他には文学修業の手だては在り得よう筈もないのだとか...
牧野信一 「浪曼的月評」
...小さいものの寂しい心」そう言ってトオカルは溜息した...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「浅瀬に洗う女」
...おもっただけでもトボンと青黄色くうすら寂しい限りではあることよ...
正岡容 「我が圓朝研究」
...すっかり世の中から隔離されましたような寂しい生活をいたしておりました...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...山荘の寂しい生活をしていた時に変わり...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...母を寂しい家で死なせてしまいました...
森鴎外 「蛇」
...斯う書いてゐながらも何處やらにそれらの鳥のそれぞれの寂しい聲の聞えてゐるのを感ずるのだ...
若山牧水 「樹木とその葉」
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