...肇さんは起き上ツて、凝然(じつ)と其友の後姿を見送ツて居たが、浪の音と磯の香に犇々(ひしひし)と身を包まれて、寂しい様な、自由になツた様な、何とも云へぬ気持になツて、いひ知らず涙ぐんだ...
石川啄木 「漂泊」
...如何にも寂しいからであらう...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...寂しい狹軌鐵道沿線の...
オウ・ヘンリ 三宅幾三郎訳 「水車のある教會」
...あんな寂しいところは全く...
コナン・ドイル 三上於莵吉訳 「自転車嬢の危難」
...色の剥(は)げて行く生活の寂しい影がさしていた...
徳田秋声 「黴」
...寂しい通りに、軒灯の光りが淡く流れていた...
豊島与志雄 「反抗」
...そんないたいけな子だけを相手に、その不為合せな御方は、志賀の東の麓に、近江の湖を前に見、志賀の山を後ろにした、寂しい里に、言いようもなく心細く明し暮らして入らっしゃるとかいう事だった...
堀辰雄 「ほととぎす」
...森のなかのもの寂しい自然の描写ではじまっています...
堀辰雄 「雪の上の足跡」
...一人もいないと寂しいぞ」エレナが顔を輝かせた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...「あの悪い心」を性質としてあきらめて了ふことは余りに寂しいことだつた...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...芝公園の寂しい松原を抜けて一人で遠遊びに出た伊東は...
松本泰 「暴風雨に終わった一日」
...あなたは寂しいの」と言うと女王はうなずいた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...悲観してしまって伊勢(いせ)へでも行かれたらずいぶん寂しいことであろうと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...とにかく今日の夕方ほど寂しいことはございません」と大臣は言ってもまた泣くのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...自分にはこの寂しい海辺で命を落とさねばならぬ罪業(ざいごう)はないわけであると自信するのであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...いよいよお寂しい静かな御生活のように拝見いたしましたあちらの御様子では...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一味通じた底寂しい風韻枯寂の気がながれ合い...
室生犀星 「庭をつくる人」
...だからもしこの物寂しい黄昏(たそがれ)の感動が...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
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