...近頃の寂しさが初會の女をでも若し心の奧まで抱き込めるなら抱き込みたい氣にこちらをならせてゐた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...翡翠(あをせみ)のやうに寂しい海岸に穴を掘つて...
薄田泣菫 「茶話」
...店は寂(さ)びれる一方だつた...
薄田泣菫 「茶話」
...「私はまた霊魂寂滅論者なんです...
薄田泣菫 「茶話」
...今寂しい街角を曲ろうとしている一人の男を見かけると...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...その間にも四辺(しへん)の暗さと寂寥(せきりょう)さとはひし/\と加わって来るのであったが...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...ぐうたら手記(覚書)行乞三輪空寂...
種田山頭火 「其中日記」
...寿々龍の銀子も寂しくなると...
徳田秋声 「縮図」
...人無き街路の寂寞(せきばく)たる静けさ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...寂しくて寂しくてたへざれば...
萩原朔太郎 「南の海へ行きます」
...京山の『朧月猫の草紙』などの挿絵に興じてゐる私に何とも云へないこの人の世の寂寥をつたへて来た...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...その寂しさの奥に倫敦の紅い灯火が滲んでいた...
松本泰 「日蔭の街」
...僕は寂しく思っていた時だから...
森鴎外 「雁」
...横の男爵にはそれも早や無い富貴の寂しさばかりが攻めよっているのかもしれぬと...
横光利一 「旅愁」
...そうした外の物音も寂(せき)とひそまり返った頃である...
吉川英治 「私本太平記」
...二山はまたもとの静寂(しじま)にかえって...
吉川英治 「神州天馬侠」
...――ふしぎな静寂のうちに...
吉川英治 「新書太閤記」
...禅の深い影響の後に生まれたあの「寂(さ)び」のこころ...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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