...その最後の宿り塲は朱乙温泉であった...
石川欣一 「可愛い山」
...おそくならば今一度湖畔に宿りてもよしと決心して...
大町桂月 「赤城山」
...雨宿りの鳥獸で大混雜である...
太宰治 「お伽草紙」
...若い女房が、たった一人で留守番をしてるところへ、ピカリゴロゴロ……ちょっくら、雨宿りを、さしておくんなさい! とはいって来た途端に、ピカッときて若い男に、アレエとばかり女房は縋(すが)りつく...
橘外男 「雷嫌いの話」
...いつもよくないのが私の財布だ! 駅で暫らく雨宿りして...
種田山頭火 「道中記」
...新徴組の浪人など、束になってかかっても、怖ろしくはないが、下総が立つと、大敵だぞ」「清川を殺したのは、男谷門下の奴ではないか」「いいや、下総は、そんな人物ではない」「然し、幕臣ではないか」「新徴組には、甲斐の祐天と申す博奕打が、伍長で入っているというのう」「何を致すか、血の道のすることは、判るものではない」夕立に法華も、門徒も、雨宿り上見て、下見て、濡れまいと同じ軒端の、押しっくら「お春、皮肉なことを、唄っておるぞ」一人が「師匠っ、うまいぞっ」と、称めた...
直木三十五 「南国太平記」
...私たちのためには夕だちのときの雨宿りとなり...
中勘助 「銀の匙」
...山岳を行く時にかりの宿りと定めた名残(なごり)で...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの男と雨宿りしたばかりなのに...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...正直安兵衞とて神は此頭に宿り給ふべき大藥罐の額ぎはぴか/\として...
樋口一葉 「大つごもり」
...さて妊婦がその胎児の魂が宿り居る鳥を殺してかの菌の上へ落ちると...
南方熊楠 「十二支考」
...その夜そこに宿り明日見れば昨と同時にまた戦うて青竜敗走した...
南方熊楠 「十二支考」
...荒れはつる朽ち木のもとを宿り木と思ひおきけるほどの悲しさという...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...とてもこんなちっぽけな住居には宿りえないであろう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...彼らがこの世に活きていた意味が宿ります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...人間の手には信頼すべき性質が宿ります...
柳宗悦 「民藝四十年」
...――げにや一樹の蔭に宿り...
山本周五郎 「風流太平記」
...御宿りのいかばかり美しきかを人に教えまつらんことを希う...
横光利一 「旅愁」
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