...薄明(うすあか)りに浮んだ眼の涼しさは宵の明星(めうじやう)にも負けない位です...
芥川龍之介 「三つの指環」
...それから太陽の侍女としてあるときは宵の明星あるときは暁の明星として輝くかの美しい金星などは何のためであるか...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...」宵の明星が晃然(きらり)と蒼(あお)い...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...いわゆる黄昏の空はまだ太陽の光はどことなくとどめているのにはや闌干(らんかん)たる宵の明星は光を放っているというような...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...ここで若い靴磨きが変な街路詩人の詩を口ずさみ三等席の頭上あたりの宵の明星を指さして夕刊娘の淡い恋心にささやかな漣(さざなみ)を立てる...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...いわば幾億千万の星のなかでその美しいいや先の光輝を放つ宵の明星である...
中勘助 「独り碁」
...宵の明星がぽつりと浮いてゐるのを見て...
永井荷風 「枯葉の記」
...蘆の枯葉蘆の枯茎蘆の枯穂ももろともにそよげる中の水たまり短き日あし傾きて早や立ちこむる夕霞遠き眺のけぶれるに水のたまりに黄昏の名残の空のたゞよへる鏡のおもに星一ツ宵の明星唯一ツ影あざやかに輝きぬ...
永井荷風 「枯葉の記」
...東の空に光る宵の明星をめあてに...
中里介山 「大菩薩峠」
...……宵の明星が本丸の櫓(やぐら)の北角にピカと見え初(そ)むる時...
夏目漱石 「幻影の盾」
...しかして更に西の天にはかの「宵の明星」と知られている金星が現われた...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...宵の明星(みやうじやう)の夢幻的な姿はそこから現はれて身をかゞめてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...その宵の明星の眼はあなたが夢にでも見たのに違ひない...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...宵の明星があがつたばかりのところであります...
牧野信一 「船の中の鼠」
...宵の明星があがつたばかりの薄あかりの甲板に勢ぞろひしました...
牧野信一 「船の中の鼠」
...宵の明星が鮮(あざやか)な光で煌(きらめ)き出すのを合圖で...
三島霜川 「水郷」
...10790はやとりここに鋼鉄(はがね)で宵の明星が拵えてある...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...(窓の傍へ行く)お姉さん、宵の明星よ...
森本薫 「華々しき一族」
便利!手書き漢字入力検索