...と同時にまた別荘番が一言(いちごん)もこの客来(きゃくらい)を取次がないのも不審だった...
芥川龍之介 「疑惑」
...農場の男がまたのそりと部屋にはいって来て客来を知らせたのは...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...珍客来、川棚温泉のKさんが訪ねてきた、彼は好きな男だ、姿も心持も(彼は子供のやうに熟柿をよろこんだ)...
種田山頭火 「其中日記」
...そこらあたりを漫歩する、漫はそゞろと訓む、目的意識のないことを意味する、漫談、漫読、漫想、漫生!無為而化――そんな一日であつた、たゞ一事の記すべきがあつた、珍客来、Hのおばさんとふうちやんとが立ち寄つたのである、私は彼女等の好奇心と好意とに対して微苦笑するより外はなかつた...
種田山頭火 「其中日記」
...その頃から軍治は来る客来る客に憎しみを覚え始めたのだつたが...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...彼女はもう来る客来る客をつかまえて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...『主人こと今日は珍しい客来で興を催した次第で御座る...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...一客来レバ隊中当番ノ一婢出デヽ之ニ接ス...
永井荷風 「申訳」
...御客来ですかと聞くことは忘れなかった...
夏目漱石 「門」
...客来(きゃくらい)かと思うとそうでない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...広く人に交わりて客来を自由にせんには...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...客のあるときは矢張(やは)り客来を名にして飲んで居たのを...
福澤諭吉 「福翁自伝」
......
正岡容 「大正東京錦絵」
...賀客来無迎...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...――庭先で木剣を振っていた鎌田孫次郎は、愛想よく上へ招じて、「宜うこそおいで下された」と奥へ振返って、「これ椙江(すぎえ)、お客来じゃ、お茶をお淹(い)れ申せ」「いやどうぞお構いなく」「斯様な貧宅、別してお構いは出来ませぬ...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...「お客来でございます」という妻の声でわれに返った...
山本周五郎 「日本婦道記」
...客来一味謙信は、芝生(しばふ)に床几をすえ、至極、清楚(せいそ)なすがたを、それへ倚(よ)せていた...
吉川英治 「上杉謙信」
...客来一味(きゃくらいいちみ)土蔵(どぞう)長屋の廂(ひさし)に...
吉川英治 「新書太閤記」
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