...何か自分から諦めたそんな安らかさで眼をつぶつて...
高見順 「かなしみ」
...こゝまで四里の道すがら行乞したが、すつかり労れてしまつた、おまけにボクチンに泊りそこなつて(あのボクチンのマダムは何といふ無智無愛嬌だつたらう)旅館に泊つた、一室一燈を占有して、のんびりと読んだり書いたりする、この安らかさは、二十銭三十銭には代へられない、此宿はかなり広い家だが、お客さんとしては私一人だ、主人公も家内もみな好人物だけれど、不景気風に吹きまくられてゐるらしい...
種田山頭火 「行乞記」
...○本然の自己に帰つて落ちついた安らかさ...
種田山頭火 「其中日記」
...何か大衆のなかに働いてゐる人の安らかさを思ふやうになつてゐた...
徳田秋声 「町の踊り場」
...なんという平和だろう!……なんという安らかさだろう!……数歩向こうには隠れた泉が...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その安らかさに甘える気持ちは...
豊島与志雄 「波多野邸」
...安らかさうな息が病室の靜けさの中に聞えてくるまで...
南部修太郎 「疑惑」
...今までにない安らかさが...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...不思議な落着きと安らかさを取戻して居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...法悦的な安らかさを湛(たゝ)へてゐるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...安らかさに置くよりも...
宮本百合子 「石を投ぐるもの」
...この世にありえないことがわかりきった安らかさで笑っていた...
宮本百合子 「現代の主題」
...あなたに、これだけ書いて、家の中の空気おわかりになるでしょう? 林町がああ腰をぬいて暮して居るし、私はキリキリまいをしているし、ここでは、お母さんを中心に活々(いきいき)と軸がまわっていて、又別な楽しさ、安らかさです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...体の内に何とも云えない暖かさと安らかさとがある...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...どこか精神の安らかさや...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...この安らかさは私たちへの薬である...
柳宗悦 「全羅紀行」
...巷の恋に代った安らかさを病人に与えるために他ならない...
横光利一 「花園の思想」
...岡のうへの木立一帶に黝(くろ)み靜もり岡を掩ひ木立を照しわが窓さきにそゝぐ夏の日の光に冷たさあれわが凭る椅子腕を投げし卓子(てーぶる)脚重くとどける疊部屋をこめて動かぬ空氣すべてみな氷のごとくなれわがまなこ冷かに澄みあるとなきおもひを湛へ勞れはてしこゝろは森の奧に古びたる池の如くにあれあゝねがふわが日の安らかさわが日の靜けさわが日の冷たさを...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??