...存外に痩せたと思はれる胸のあたりを薄團の下で私(ひそ)かにさすつてゐるうちに...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その議論の存外に同じきやうに見ゆるは...
津田左右吉 「仏教史家に一言す」
...まさかこれほどではないまでも歴史の中にはこれに類するものが存外にたくさんあるであろうと想像される...
寺田寅彦 「科学と文学」
...エントロピーの時計の用途は存外に広いという事を思い出すに格好な時機ではあるまいか...
寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
...「いいえ」とお君の返事は存外に冷やかでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...いよいよ存外に謙遜と自省とがある...
中里介山 「大菩薩峠」
...そのくせ存外に神経質な身扮(みごしらえ)をした四十を越した男...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...非常の辛苦を要しながら存外に喝采(かっさい)を博すること能はざればその覚悟なかるべからず...
正岡子規 「俳諧大要」
...火の手の廻り方が存外に早かったので...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...存外に人間と似通うた部分が多く...
柳田國男 「家を持つといふこと」
...その種類の存外に単純であることを感じた...
柳田國男 「名字の話」
...これが存外に容易な仕事ではないのである...
柳田国男 「木綿以前の事」
...人が狐に化けたという話も近世は存外に多かった...
柳田国男 「山の人生」
...単に存外に頻繁(ひんぱん)でありまたどれここれもよく似ているのみでなく...
柳田国男 「山の人生」
...我々の精神生活のこれに左右せられた部分の存外に小さかったことは...
柳田国男 「山の人生」
...存外にむつかしくなかったらしいのである...
柳田国男 「山の人生」
...元来自分の鼻の恰好というものは存外に気にかかるものでありまして...
夢野久作 「鼻の表現」
...やゝ歩調を整えて存外に早く松原湖に着き...
若山牧水 「木枯紀行」
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