...存外に痩せたと思はれる胸のあたりを薄團の下で私(ひそ)かにさすつてゐるうちに...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...だがお金がものいわぬことも世間には存外に多いのです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...科学と人生との交渉の真に新しい可能性を暗示するようなものは存外にはなはだまれである...
寺田寅彦 「科学と文学」
...例えば低気圧という言葉の意味すらよく呑込めていない人が立派な教養を受けたはずのいわゆる知識階級にも存外に多いのに驚かされることがある...
寺田寅彦 「颱風雑俎」
...先生は存外にこうしたわれわれの勝手な申しぶんをともかくも聞き取られた...
寺田寅彦 「田丸先生の追憶」
...この豚存外に心利きたる奴にて甲斐々々しく何かと世話しくれたり...
寺田寅彦 「東上記」
...存外によく売れたるにつき...
福沢諭吉 「成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ」
...(もっともこの辺の論は短歌につきての論と御承知可被下(くださるべく)候)真淵の家集を見て真淵は存外に『万葉』の分(わか)らぬ人と呆(あき)れ申候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...存外に金を遣うような事になるのであった...
正岡子規 「くだもの」
...人が顔を見て存外に痩(や)せずに居るなどと言はれるのに腹が立ちて火箸(ひばし)の如く細りたる足を出してこれでもかと言ふて見せる事...
正岡子規 「病牀六尺」
...存外に新らしいものになってしまった...
柳田国男 「海上の道」
...存外に久しい後までも...
柳田国男 「海上の道」
...人は死し家は絶えても存外に久しく伝わったのである...
柳田國男 「地名の研究」
...その種類の存外に単純であることを感じた...
柳田國男 「名字の話」
...郊外の朝と夕方は存外に多事なもので...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...存外に起原の近世なるものがないとは言われぬ...
柳田国男 「山の人生」
...我々の精神生活のこれに左右せられた部分の存外に小さかったことは...
柳田国男 「山の人生」
...――存外に気らくであった...
吉川英治 「私本太平記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??