...彼は何処からともなく押し逼(せま)つて来る氷のやうな淋しさの為めに存分にひしがれてゐた...
有島武郎 「An Incident」
...それはなるほど思う存分に施して...
犬田卯 「荒蕪地」
...迷信を思う存分に排斥することのできたその頃の教育は...
丘浅次郎 「改善は頭から」
...手も頭も思う存分に洗って下さい...
太宰治 「駈込み訴え」
...友のなさけ――それを存分に味はひ味つた...
種田山頭火 「行乞記」
...存分に色彩の饗応に預かる...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...存分にやつてくれ」「大丈夫かな」瀧五郎には呑み込めない事ばかりですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...斯うなればこの家にゐる氣もありませんから皆んな言つてしまひますが――」お兼は四十女の強かさを存分に發揮(はつき)して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...決して幸せぢやありませんね」お六は遠慮のない――存分に封建的な――ことを言ひます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...存分に叩くピアノの音が...
野村胡堂 「葬送行進曲」
...こちらも存分にそういう機会を利用するつもりだということは...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...パリ的な物の中で特に視覚的な楽しみを存分に味わうことが出来た...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...どうか御存分に...
久生十蘭 「魔都」
...そしてそれぞれを思ふ存分に活動させることをその本分とする長篇小説が書けるやうになるまで...
堀辰雄 「小説のことなど」
...存分に築城させ、後より乗(の)っ奪(と)って、かえって美濃が尾張を制圧するの足場としようという計であろう」「その通りである」「稲葉山のおさしずはそうあった...
吉川英治 「新書太閤記」
...味方の内状を存分に探らせておくようなもの...
吉川英治 「新書太閤記」
...長政に従ってみな存分に戦い...
吉川英治 「新書太閤記」
...(――今こそおれは、復讐されるのだ、存分に、苦悶を味わわせられて、ここで人間の終りを告げるのだ)と思うと、生への未練やら、なんとか生きたいと思うもだえやら、悔悟やら、またさまざまな人間的の弱さがこぐらかってきて、醜い眼を、うつつにキョロキョロうごかし、隙を見たら、逃げそうな挙動をした...
吉川英治 「親鸞」
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