...(僕はそこへ金魚にやる孑孑(ぼうふら)を掬(すく)ひに行つたことをきのふのやうに覚えてゐる...
芥川龍之介 「本所両国」
...その暗い処に母とお末とが離れ合つて孑然(ぽつねん)と坐つて居た...
有島武郎 「お末の死」
...そんな湯呑には孑孑(ぼうふら)が居ると不可(いけ)ません...
泉鏡花 「浮舟」
...孑孑が這上(はいあが)って...
泉鏡花 「薄紅梅」
...その孑孑の驚いたという事が社中一同大得意であったかと記憶する...
高浜虚子 「子規居士と余」
...時たま一人孑然(ぽつねん)と貸間の二階に寝ることがないでもないが...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...深き淵のたゞ中に大きなる岩の一つ突き出でたる上に年ふりたる松の枝おもしろく竜にやならんと思はれたるなどもをかしく久米駿公の詩に水抱巌洲松孑立雲竜石窟仏孤栖といへるはこゝなんめりと独りつぶやかる...
正岡子規 「かけはしの記」
...また東風(こち)菫(すみれ)蝶(ちょう)虻(あぶ)蜂孑孑(ぼうふら)蝸牛(かたつむり)水馬(みずすまし)虫(まいまいむし)蜘子(くものこ)蚤(のみ)蚊(か)撫子(なでしこ)扇燈籠(とうろう)草花 火鉢炬燵(こたつ)足袋(たび)冬の蠅(はえ)埋火(うずみび)等はその繊細なる者なり...
正岡子規 「俳諧大要」
......
正岡子規 「俳人蕪村」
...そりや孑孑(ぼうふら)は溝(どぶ)の中でうよ/\してゐるのよ...
三島霜川 「平民の娘」
......
南方熊楠 「十二支考」
...負傷した蝮が孑孑(ぼうふり)様に曲り動いて予の足もとに滑り落ち来れるに気付き...
南方熊楠 「十二支考」
...「干旄孑孑上途程...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...童歌はこういっている……八九年間ハジメテ衰(オトロ)エント欲ス十三年ニ至ッテ孑遺(ケツイ)無(ナ)ケン到頭(トウトウ)天命帰ス所アリ泥中(デイチュウ)ノ蟠龍(ハンリュウ)天ニ向ッテ飛ブこれをあなたはどう判じられるか? ……」「さあ...
吉川英治 「三国志」
...これで腹の中の孑々も死ぬだろう...
吉川英治 「私本太平記」
...孑孑(ぼうふら)を掌(て)に掬(すく)って...
吉川英治 「新書太閤記」
...「水溜(みずたま)りの孑孑(ぼうふら)どもに用はない...
吉川英治 「新・水滸伝」
...一応は読むのが礼儀じゃないか」「孑孑(ぼうふら)や蛆(うじ)ほど多い武者修行に...
吉川英治 「宮本武蔵」
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