...「姐さん……」「はい……」「お前の名は何んと申すか」「……玉(たま)と申しますよ」「お玉だね……玉川の川尻でお玉とは好い名だね...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...「家、そこの草っぱらですか、家なんかありませんよ」「ないことがあるものか、小さな家だよ、家のあることは事実だが、その家にいる者が問題だよ、姐さんは近比(ちかごろ)ここへ来たのだね」「でも、もう三年になりますよ、家なんかがあるのでしょうか、私たちは狐(きつね)が怖いのですから、夜なんか通ったことがありませんが」「おかしいぞ、だが、姐さんは、通らないから知らないかも判らない、まあ、後で往ってみよう」益雄と画家は茶をそこそこに飲んで庭へおり、裏口の針金をもうしわけに引いた柵を跨(また)いで草藪(くさやぶ)へ往った...
田中貢太郎 「草藪の中」
...「姐さんは、まだ戻らんかよ、源吉が独りのようじゃが」秀がそれとなしに云った...
田中貢太郎 「放生津物語」
...ここが松島と今の若い姐さんの品子と...
徳田秋声 「縮図」
...父さんも姐さんには惚(ほ)れていたんだから...
徳田秋声 「縮図」
...姐さんが平気でいるのが...
豊島与志雄 「男ぎらい」
...姐さんも出て来たので...
豊島与志雄 「男ぎらい」
...見どころがあると土地の姐さんのすすめで...
豊島与志雄 「常識」
...姐さん冠りにした白い手拭が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...姐さんのお静さんまでさらわれて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...姐さん被りまでしているので...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...お姐さんのところに借りに行ったんです」「なんてな?」ヨネは...
火野葦平 「花と龍」
...「おい、甚公、あきれたのう」「なにがや?」「今、おれたちが、八人でやっとる仕事を、毎朝、姐さんが、一人で、やっとったんじゃで」「そういえば、そうじゃなあ」「これでも、まだ、前の晩から、米が磨(と)いで、釜に仕掛けてあったり、味噌やら、豆腐やら、大根やらが、買うてあるもんじゃけ、楽なんじゃ...
火野葦平 「花と龍」
...「姐さん、むこのお客さんなあ、あてを知つてゐるといふてゐやはりまつか...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...お誂(あつらへ)は?」いかにも牛屋の姐さんらしい大柄の女中が...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...「いよう、蟒姐さん...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...おそらくは鏡花が鏡花調を凝らして飽かなかった仲の半玉や姐さん姿も並んだであろう...
吉川英治 「紅梅の客」
...姐さんてば」お綱はふり向きもしないで...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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