...お鈴はこう云う父の気もちに始めのうちは嫌悪を感じていた...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...倉地も始めのうちはしぶしぶつき合っていたが...
有島武郎 「或る女」
...始めのうちは、此処と此処はいじってはいけないけれど、他はどうでもいいからどんどん削れと言って私共に削らせた...
高村光太郎 「回想録」
...始めのうちは「でれ助野郎め」と腹の中で薄気味悪がったり...
谷崎潤一郎 「幇間」
...それが私生児であるがために始めのうちは...
寺田寅彦 「映画芸術」
...始めのうちは、上げた頭が落ちながらだんだんうっとりして、うっとりの極、胸の上へがくりと落ちるや否や、一足飛(いっそくとび)に正気へ立ち戻ったが、三回四回と重なるにつけて、眼だけ開(あ)けても気は判然(はっきり)しない...
夏目漱石 「坑夫」
...始めのうちは黙って聞いていたが...
夏目漱石 「こころ」
...始めのうちは、ただ、ぶら/\してゐたが、何(ど)うしても、はか/″\しく癒らないので、仕舞に医者に見て貰(もら)つたら、能(よ)くは分(わか)らないが、ことに依(よ)ると何とかいふ六づかしい名の心臓病かも知れないと云つた...
夏目漱石 「それから」
...始めのうちは小(ち)さい横町を右へ折れたり左へ曲ったり...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...きっとあれに違ないわね」小六は始めのうち何にも口を出さなかったが...
夏目漱石 「門」
...始めのうちは、大きい眼を開いて、看護(みと)るつもりでしたが、次第に猛烈に睡氣(ねむけ)に襲(おそ)はれると、我にもあらず、健康な鼾(いびき)をかいて寢込んで了ひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...始めのうちはなほ使用せられて居つたことは...
濱田耕作 「石鏃の思出話」
...廃屋から撃ち出す弾丸は、始めのうちは、勢い当るべからざるていに見えたが、そのうち追々間遠になり、やがてばったり聞こえぬようになってしまった...
久生十蘭 「魔都」
...始めのうちは、彼も自分では、わからなくても、世間の人に美しいと言われることに、一種の嬉しさ、肩身の広さを感じていた...
平林初之輔 「二人の盲人」
...文科でも始めのうちは作文の時間があつた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...始めのうちは大騒ぎをして一生懸命につき合ふのだが...
牧野信一 「妄想患者」
...始めのうちは遠いのでなか/\とゞきませんでしたが...
宮原晃一郎 「子良の昇天」
...それで始めのうちは小田原町のほうに見当をつけ...
山本周五郎 「風流太平記」
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