...五人の藝妓の十の袂が...
石川啄木 「菊池君」
...昼の編笠をてこ舞に早がわりの芸妓(げいしゃ)だちも...
泉鏡花 「怨霊借用」
...察するに綾子刀自が大隈家へ嫁がれた時分は、ちょうど何もかも徳川瓦解(がかい)の後を受けたドサクサの時代で、その頃の政治家という人たちは多くお国侍(くにざむらい)で、東京へ出て仮りの住居(すまい)をしておって、急に地位が高くなり政治家成り金とでもいうような有様で、何んでもヤンチャな世の中……殺風景なことが多く、したがってその配偶者のことなども乱暴無雑作なことがちで、芸妓(げいぎ)、芸人を妻や妾にするとか、女髪結の娘でも縹緻(きりょう)がよければ一足飛びに奥さんにするとかいう風であったから、こういう一体の風習の中へ綾子刀自のことも一緒に巻き込まれて、同じような行き方であったろうなど推測し、右のような噂が今日も伝えられるのであろうかと思われますが、これは全く大間違いであるのです...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...新町や北の新地の女将や老妓(ろうぎ)も交っていたりして...
谷崎潤一郎 「細雪」
...また、実際にその頃の色里の勤め奉公は、芸妓(げいぎ)、遊女、茶屋女、その他何であるにしろ、いったん身売りの証文に判をついた以上、きれいに親許(おやもと)と縁(えん)を切るのが習慣であり、その後の娘はいわゆる「喰焼(くいやき)奉公人」として、どう云う風に成り行こうとも、実家はそれに係り合う権利がなかったでもあろう...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...斯ういふ老妓と親類づきあひをしてゐるぞ...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...ここの或る房の芸妓の...
豊島与志雄 「北支点描」
...地方のウグイス芸妓なんぞが...
野村胡堂 「胡堂百話」
...一「旦那よ――たしかに旦那よ」「――」盲鬼(めくらおに)になつた年増藝妓のお勢(せい)は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...おまけにお母さん次第になるのだから」売れっ妓(こ)のお鯉が...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...川口松太郎と三益同席が既につまらんところへ新橋芸妓の不礼さに呆れ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...家々の様子を見ると何となく昔見た東国諸駅の妓家に似おった...
南方熊楠 「十二支考」
...これでも辰巳(たつみ)の芸妓だよ」「おらあ...
山本周五郎 「ゆうれい貸屋」
...舞妓の並んだ顔を無遠慮にじろじろ見較べた...
横光利一 「旅愁」
...それだから一流の芸妓や舞妓になると...
吉井勇 「逢状」
...小秀ちゃん」「御卑怯ですよ」自分の持ちものらしい若い妓に...
吉川英治 「脚」
...胡弓(こきゅう)を弾(ひ)くひなびた妓(おんな)などもいて相当に賑わっていた...
吉川英治 「三国志」
...あわてて羽織芸妓(げいぎ)の裾のもとをかいくぐって...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
便利!手書き漢字入力検索