...とりとめのない妄想(もうぞう)に耽っていると...
芥川龍之介 「女体」
...彼はここに住んでいる被害妄想狂の瑞典(スウエデン)人だった...
芥川竜之介 「歯車」
...』『是(これ)は奇妙(きめう)な妄想(まうざう)を爲(し)たものだ...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...今は被害妄想(もうそう)のようになってしまった自分の気持を落ち着かせ...
徳田秋声 「縮図」
...「それはただでたらめな妄想(もうそう)なんですか...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...何等かの妄念に支配されない限り...
豊島与志雄 「大自然を讃う」
...彼らには伝説や妄想(もうそう)や霊魂や不死や天国や星などを食わせるがよい...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...妄想は忽ち、わが慾深き眼を、ひたすら、君が衣服につゝまれし形体のいみじさに移らしめぬ...
永井荷風 「舞姫」
...外へ出さなくっちゃならない日が来るに違(ちがい)ないって」「いつか一度? だからお前のは妄想(もうぞう)と同(おん)なじ事なんだよ」「いいえ生涯(しょうがい)のうちでいつか一度じゃないのよ...
夏目漱石 「明暗」
...患者が不当監禁を受けているような妄想をおこし...
久生十蘭 「ハムレット」
...さながら検察の妄執といった具合に...
久生十蘭 「魔都」
...ほととぎす妄りに鳴かず一章を読み終へて後一章を次ぐ咢堂先生を嘗て莫哀山荘に御尋ねした時軽井沢では梅雨期にはほととぎすが喧しい位啼くといふ御話であつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...そもそも洋学のもって洋学たるところや、天然に胚胎(はいたい)し、物理を格致(かくち)し、人道を訓誨(くんかい)し、身世(しんせい)を営求(えいきゅう)するの業にして、真実無妄、細大備具せざるは無く、人として学ばざるべからざるの要務なれば、これを天真の学というて可ならんか...
福沢諭吉 「慶応義塾の記」
...脱がれて生肉の唯一なる胆妄に無数の槍を負つてゐる現在か...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...彼れは二三日妄想(もうそう)に悩んだだけで...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...彼の女は風のない静かな夕暮なぞには妄想の深みへ入って...
松永延造 「職工と微笑」
...私は殺人を夢み、又妄想し、遂に意図し、企画し初めたのである...
松永延造 「職工と微笑」
...神州不壊(ふえ)などという妄信(もうしん)の敵ではないのです...
山本周五郎 「新潮記」
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