...醜聞さへ起し得ない俗人たちはあらゆる名士の醜聞の中に彼等の怯懦(けふだ)を弁解する好個の武器を見出すのである...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...蔡温は実に好個の知己を得たといわなければなりません...
伊波普猷 「琉球史の趨勢」
...そいつが聞きものだね」「好個(こうこ)の探偵小説だね...
江戸川乱歩 「一枚の切符」
...入獄の好個の紀念として永久に保存せしめたいものだと思っている...
大杉栄 「獄中消息」
...アマチュア昆虫生態学者(こんちゅうせいたいがくしゃ)にとっては好個のテーマになりはしないかという気がしたのであった...
寺田寅彦 「三斜晶系」
...是れ政治的退隱者たる板垣の爲に好個の事業に非ずや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...さるが故に今日(こんにち)の吾人(ごじん)に対してもなほ永久なる恋愛の詩美を表現する好個(こうこ)の象徴として映ずる事を妨げざるなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...然(しか)れども時代の好尚(こうしょう)と画工が技能の円熟とによりてやがて好個の山水風景画を制作するに至れり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...好個(こうこ)の対照とされているのである...
野村胡堂 「楽聖物語」
...好個(いい)焚付けになる上に...
羽志主水 「越後獅子」
...好個とはいはないまでも...
羽田亨 「聚樂廻り」
...この「秋」の少し以前に書かれた「蜜柑」(大正八年)「沼地」(大正八年)も好個の短篇である...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...器は趣味の好個な対象に変じた...
柳宗悦 「工藝の道」
...壁張や襖地(ふすまじ)には好個のものであります...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...そうして材料としては芭蕉の如き好個のものがあるのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...近時出版になつた「和紙風土記」は好個の入門書であつて...
柳宗悦 「和紙十年」
...いかに移り変って行くかを示すべき好個の一例ということが出来る...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...壁額に嵌った十七世紀の銅版画と好個の対照をなし...
横光利一 「旅愁」
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