...好し、そんなら俺も彼奴(あいつ)の事を素破抜(すつぱぬ)いてやらう、と気が立つて来て、卑怯な奴等だ、何も然う狐鼠々々(こそこそ)相談せずと、退社しろなら退社しろと瞭(きつぱ)り云つたら可いぢやないか、と自暴糞(やけくそ)な考へを起して見たが、退社といふ辞(ことば)が我ながらムカムカしてる胸に冷水(ひやみづ)を浴せた様に心に響いた...
石川啄木 「病院の窓」
...お前の影は彼奴(あいつ)に魔が魅(さ)しているように見えたんだ...
泉鏡花 「婦系図」
...人間様の間(なか)でも眼色(めいろ)の変つた奴が幅を利かしたが...
内田魯庵 「犬物語」
...やっぱり彼奴(きゃつ)らも大悪人だ...
海野十三 「大空魔艦」
...馬鹿の真似をする奴は馬鹿である...
太宰治 「鉄面皮」
...所謂(いわゆる)「文化住宅」と云う奴(やつ)...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...そこで、さしもの道庵も少々しょげて、「はて、友様はどうしたろう、あれから、ああして、あの時までは、あれだったが、ああしてその後が……『水祝い』の時は、奴、いなくってよかったと思ったが……奴がいてごろうじろ、軽井沢の伝で、棒切れを振り廻された日には、せっかくの御趣向が水にもならねえ、あの時ばっかりは友様がいてくれねえのがお誂(あつら)えだと思ったが、はて、それから、ちょっと外へ出てくるから許してくれと、言われた覚えはあるようだが、それから後――奴、出て行ったらどうしたって、その日のうちには帰って来ねえような人間ではねえ、三時間で済む用事は、一時間半で済ましてくるだけの、目から鼻へぬけたところのある野郎だが……それがお前、一晩、わしをおっぽり出して帰って来ねえなんて、全く今までに例のねえことだぜ...
中里介山 「大菩薩峠」
...飛んでもない惡賢こい奴だから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...(生意気な新参野郎奴)と...
火野葦平 「花と龍」
...ずつとずつとえらい奴のものを...
堀辰雄 「生者と死者」
...でも奴は何も出来ず...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...彼奴(きゃつ)の口惜しさが罩もっているのだ...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...私はお姫(ひい)様の奴隷で御座います...
夢野久作 「ココナットの実」
...奴隷の蜥蜴(とかげ)の刺青(ほりもの)が青い瘤(こぶ)のように見えていた...
横光利一 「日輪」
...彼奴(きゃつ)よな...
吉川英治 「新書太閤記」
...悪口を云ってる奴もありやすがね...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...不埒(ふらち)な奴は...
吉川英治 「親鸞」
...何奴(どやつ)じゃ」と...
吉川英治 「宮本武蔵」
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