...暗い奥深い閨(ねや)の中に垂(た)れ籠(こ)めて...
谷崎潤一郎 「鍵」
...その時は魂の底までも曝け出したような奥深い光りに燃えていた...
豊島与志雄 「蘇生」
...その老人の奥深い目つきが絶えずコゼットの方へ向けらるるのを見て取っていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...新樹の茂りに家の屋根も外からは見えない奥深い一構(ひとかまえ)がある...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...はなはだ重畳した奥深いものとなる...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...身体(からだ)の奥深いところにたまって来る...
中谷宇吉郎 「日本のこころ」
...奥深い店の、奥の方の棚に、真鍮(しんちゅう)の火鉢の見本が並(なら)べてあるのが、陽(ひ)の光がどこからさすのか、朝の間のある時、通りがかりに覗(のぞ)きこむと、黄色くキラキラ光っていて、黄昏(たそがれ)に御仏壇を覗(のぞ)いたような店の家だった...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...お母さんは奥深い土蔵(くら)前に陣どり...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...高原の奥深いところで...
林芙美子 「浮雲」
...奥深い木立に包まれた...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...奥深い窓が細い格子で為切(しき)つてあつて...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「十三時」
...ラ氏は夢見るような奥深い眼で...
松永延造 「ラ氏の笛」
...この三斎屋敷の、奥深いところで、奇怪な親子が、めいめいの慾と執着(しゅうちゃく)とに、魂を、燃やしている頃、この屋敷から程近い、とある普請場(ふしんば)の板がこいの物影に、何やら身を寄せ合うようにして、ひそひそと物語っている男女の影――さては、人目を忍ぶ逢い引きか? いいえ、二人の話に、耳を傾けるものがあったら、どうしてなかなか、そんなありふれた者どもではないのを、すぐに発見したであろう...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...美への本能の如何に奥深いものがあったかを語ります...
柳宗悦 「民藝四十年」
...もっと奥深い深殿の裡にその本尊はかくれていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...ほどなく五刻半(いつつはん)の時計が、奥深い所で、時を刻むと、五名の老中が、そろって、席に着いた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...山目付こんな奥深い峡谷(きょうこく)は...
吉川英治 「増長天王」
...房州半島と三浦半島とが鋭く突き出して奥深い東京湾の入り口を極めて狭く括(くく)つてゐる...
若山牧水 「岬の端」
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