...その絵は覚束ない弱い光りを受け留めるための一つの奥床しい「面」に過ぎないのであって...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...到底前者の奥床しさに及ぶべくもない...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...まことに奥床しいかをりである...
種田山頭火 「其中日記」
...(本紙の社長、前田氏は、よかったよ、と、云っていたが、らしいと疑問にしておくのは、文筆業者の、奥床しさ、というものである)だが、前篇がよかったからとて必ずしも後篇もいいとは云えない...
直木三十五 「大阪を歩く」
...何処までも遠慮深くおとなしくしている方がかえって奥床(おくゆか)しく美しくはあるまいか...
永井荷風 「妾宅」
...過ぎ行く舟の奥床(おくゆか)しくも垂込(たれこ)めた簾の内をば窺見(うかがいみ)ようと首を伸(のば)したが...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...それほど由緒(ゆかり)のない建築もまたはそれほど年経(としへ)ぬ樹木とても何とはなく奥床(おくゆか)しくまた悲しく打仰(うちあお)がれるのである...
永井荷風 「日和下駄」
...座敷の床の間に其の家伝来の書画を見れば何となく奥床しく自(おのづか)ら主人に対して敬意を深くする...
永井荷風 「水 附渡船」
...いかにも奥床しく白井の眼に映じた...
永井荷風 「来訪者」
...見ているうちになんとも言われぬ奥床しさ」「わたくしは...
中里介山 「大菩薩峠」
...神尾主膳とは違って奥床しいところのある人だと思わせられる心持になりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...いかにも奥床しいところのあるのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...十分(じゅうぶん)の美を奥床(おくゆか)しくもほのめかしているに過ぎぬ...
夏目漱石 「草枕」
...立入って知らないが奥床(おくゆか)しいと思った...
長谷川時雨 「大橋須磨子」
...なかなか奥床(おくゆか)しいのである...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...この平凡な景色が何となく奥床(おくゆか)しく見える...
正岡子規 「病牀六尺」
...母の方は奥床しいどころでなく真剣に嫌がっていたようでした...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...いつも奥床(おくゆか)しかった...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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