...土地では弘法様のお祭、お祭といっているが春秋二季の大式日(だいしきじつ)、月々の命日は知らず、不断(ふだん)、この奥の院は、長々と螺線(らせん)をゆるく田畝(でんぽ)の上に繞(めぐ)らした、処々(ところどころ)、萱薄(かやすすき)、草々の茂みに立ったしるべの石碑を、杖笠を棄てて彳(たたず)んだ順礼、道(どう)しゃの姿に見せる、それとても行くとも皈(かえ)るともなく煢然(けいぜん)として独り佇(たたず)むばかりで、往来の人は殆(ほとん)どない...
泉鏡花 「遺稿」
...奥の院は幽邃森厳(ゆうすいしんげん)である...
泉鏡花 「遺稿」
...修禅寺の奥の院路(みち)三宝ヶ辻に彳(たたず)んで...
泉鏡花 「遺稿」
...あと三方はまばらな農家を一面の畑の中に、弘法大師奥の院、四十七町いろは道が見えて、向うの山の根を香都良川が光って流れる...
泉鏡花 「怨霊借用」
...奥の院のような感じの...
江戸川乱歩 「影男」
...今の奥の院の大師霊廟の前にある無明の橋のことであろう...
谷崎潤一郎 「覚海上人天狗になる事」
...法華経寺の奥の院からすこし行くと競馬場があつたのですが...
永井荷風 「畦道」
...奥の院から下りて来る...
中里介山 「大菩薩峠」
...浮世だなと気がつけばすぐ奥の院へ引き返す...
夏目漱石 「虞美人草」
...信州戸隠山(とがくしやま)の奥の院というのは普通の人の登れっこない難所だのに...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...奥の院への坂径をまつしぐらに駈け登つて行く牝馬の後ろ姿を土塊に似た眼玉でどんよりと見あげてゐた...
牧野信一 「夜見の巻」
...寂しい寺領の奥の院で自由に暮した...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...山住奥の院の常光房は...
柳田国男 「山の人生」
...是(これ)からが髑髏洞(カタコンブ)の奥の院である...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...「明日(あした)はまた、奥の院まで、大岳(おおだけ)を登らねばなるまいが、余り晩(おそ)くならぬうちに戻って眠れよ」いい置いて、武蔵は、別当の観音院(かんのんいん)の方へ、ひとりで歩き出した...
吉川英治 「宮本武蔵」
...奥の院道も白み渡って...
吉川英治 「宮本武蔵」
...奥の院の参詣もすまし終ったものとみえ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...奥の院の登り口となる崖道の断削(きりそ)いだ一方に...
吉川英治 「宮本武蔵」
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