...「小松がいなくなったことは知っているのですか」「山野の奥さんから聞いた...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...アパートの主人の奥さんだった...
江戸川乱歩 「影男」
...「奥さん、この金庫は閉めてなかったのですか」慌しく尋ねると、娘の死骸にとりついて泣き入っていた夫人が、やっと顔を上げて、「イイエ、主人がしっかり閉めて置いた筈です...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...奥さんの方はきたなくなっちまいましたね...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...奥さんやお嬢さん達が面倒くさがって奥に引っ込んで居って...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...奥さんは急に人が変ったみたいにはしゃぎ出して...
太宰治 「男女同権」
...いくら家の奥さんが好いか判らないぢやありませんか...
田中貢太郎 「蟇の血」
...「よかあないことよ、いやよ、帰るのは」「帰るのはいやって、大事の旦那さまが嫌いかね」「嫌いよ、あんな跛なんか、見たくもないわ、飽き飽きしたから、杉本さんにどうかしてもらうわ」「それはお門違いだろう、あれじゃないか」「痴(ばか)」「だってそうじゃないか、それで事件が起ったじゃないか、やっぱり男に生れるなら、壮(わか)い、きれいな俳優(やくしゃ)のような男に生れたいものだな」「痴」「痴は、ないでしょう」「痴、痴、痴よ、そんなことを云うものは、ただ、お杉が知ってると云うから、いっしょに飯を喫(く)ってたじゃないの、それをあの悪党が、二人を伴(つ)れだして、一札(いっさつ)をかかしたじゃないの、無実の罪よ、貴方(あなた)は弁護士じゃないの、そんな無実の罪の弁護するのが、職務じゃないの」「だから、すぐ往って、旦那に逢(あ)って、奥さんは、決してそうじゃないと云って、旦那の誤解をといて、今晩伴(つ)れて往くと云うことにして来たじゃないか、りっぱに、弁護士の職務をつくして来たじゃないか」「だめよ、貴方の弁護士は、女を口説(くど)く弁護士よ」「ところが、僕は女を口説くが拙(へた)なのだ」「だめよ、そんなことを云ったって、ちゃんと種があがってるから」「それこそ無実の罪だ、こりゃ何人(たれ)かに弁護を頼まなくちゃいけない」「頼んだってだめよ」「こいつは困ったぞ」「困ったっていいよ、他(ひと)を痴にするのだもの、今日も私の家へ往って、何を云ったかも知れやしないことよ」「こいつは驚いた、奥さまは品行方正だ、そこは私が受けあうからと云って、旦那をなだめたじゃないか」「ちょいと、その品行方正が受けあえて」皮肉な笑いを見せて、「どう、杉本さん」「受けあえるさ、現に受けあって来たじゃないか」「だから、貴方(あなた)は狸(たぬき)よ」「すると、夫人は、狐(きつね)か」「痴(ばか)」「痴はもうたくさん、これから飯でも喫(く)って帰ろうじゃないか」「いやよ、帰らない、帰らないで、今晩は、貴方を引っぱり出して、どこかへ往くから」「うちの夫人に叱られる」「叱られたっていいわ、そんなこと」※お杉の家では狭い茶室(ちゃのま)へ小さな釣洋燈(つりランプ)を点(つ)けて夕飯を喫(く)っていた...
田中貢太郎 「春心」
...奥さんから聞いたところを綜合すると...
田畑修一郎 「石ころ路」
...奥さんたちの笑い方と女学生の笑い方とはたしかに区別があるはずである...
寺田寅彦 「柿の種」
...奥さん、ノイローゼですよ」妻はほっとした表情になる...
外村繁 「澪標」
...あの奥さんの単なる噂に心から苛ら立つのは...
豊島与志雄 「理想の女」
...奥さんは少し着物を拵(こしら)えろといいました...
夏目漱石 「こころ」
...奥さんですと囁(ささ)やく様に云った...
夏目漱石 「それから」
...私は迂濶(うかつ)ものだから奥さんの意味がよく呑(の)み込めません...
夏目漱石 「明暗」
...――お解りですか奥さん...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...奥さんを怒らせちゃいますよ」テレーズはそう言って...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...何時か赤瀬の大将が何処やらの温泉に女を拵えているということを誰からか聞いたことがあった、奥さんからは、近頃主人に女が出来ているということだが、何か聞いたことはないかと訊ねられたこともあった、まさか町の近傍ではなく、よく旅行する赤瀬の大将のことだから、遠方の温泉地かと思って居った、ああ、この女だったのだ、この女だ、そう悟ると、彦太郎はまるで死刑の判決でも受けたように立ち竦んだ...
火野葦平 「糞尿譚」
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