...「そうか、奉公人として、汝(きさま)がそう云うのは、もっとものことだ、奉公人としては、主人のためにそうしなくてはならんが、苟(いやしく)も人の亀鑑(てほん)になる家のことだ」「ではございましょうが、そこが御堪忍(ごかんにん)でございます、どうかてまえに免じて、今回だけは、お眼こぼしを願います、それにつきましては、汚いことを申しあげてはすみませんが、皆さまにそれ相当のことをいたしまして、皆さまの御親切にお礼をいたしたいと思います、どうか今回だけは、お眼こぼしを願います」「そうか、汝(きさま)が主人のためを思うて、そう云うならいけないとも云えないが」「どうぞお願いいたします、それにつきまして、てまえ主人にちょっと申したいことがございますから、ちょっとお赦(ゆる)しを願います」「よし、相談があるなら、往ってもいいが、長くはいけないぞ、それに俺だちを欺(だま)しといて、警察なんかに云いつけたら、承知しないぞ」「決して、そんなことはいたしません」「云いつけるなら云いつけてもいい、ここな署長なんか、東洋義団の連中とは朋友(ともだち)だから、そんなことは驚かんが、もし、へんなことをすると、結社には命知らずが幾人もいるのだ、殺してしまうからそう思え」「いや、けっしてそんな痴(ばか)な真似はいたしません」それから広栄に注意して、「それでは旦那、ちょっとお話をあげたいから、あちらへいらしてください」広栄はほっとしていた...
田中貢太郎 「春心」
...奉公人としてはこの上ない仕合せでございます」この惡七兵衞は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...無理から安次郎を江島屋へ連れ戻ってきて奉公人としてやるのである...
正岡容 「我が圓朝研究」
...武家の奉公人として...
吉川英治 「新書太閤記」
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