...失礼ですが、三好夫人は目も耳もうとい御老人です...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...「失礼ですが、御主人は、なぜ夜中になぞ帆走(セイリング)をなさるのですか?」すると夫人は困ったように、「……あれが、あの人の、道楽なのでございます」そう云って淋しそうに、笑うとも泣くとも判らぬ表情(かお)をした...
大阪圭吉 「死の快走船」
...失礼ですが...
太宰治 「渡り鳥」
...失礼ですが御地では雷(サンダー)は鳴りますかね? とばかり...
橘外男 「雷嫌いの話」
...テレーギン 失礼ですが……...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...「失礼ですが申し上げます」と...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「火夫」
...冬亭は、すらすらと老人の前へ行って、おじぎをすると、「失礼ですが、鹿島さんでいらっしゃいますか...
久生十蘭 「西林図」
...「今日は、とりこんでおりますから、失礼ですが、おひきとりねがえませんか……いずれまた」おきまりの慇懃無礼で、空々しい愛想笑いをしながら、追いだしにかかった...
久生十蘭 「蝶の絵」
...そして失礼ですが博士は...
平林初之輔 「或る探訪記者の話」
...あとの方には甚だ失礼ですが...
平林初之輔 「探偵戯曲 仮面の男」
...「失礼ですがお姓は何とおつしやるんですか」「私...
宮地嘉六 「老残」
...と申すことを失礼ですがあなたからお取り次ぎくださいませんか」と入道は言うのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...失礼ですが、ちょいと御免を蒙ります...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...「それではそのほうが湯島横町の家の面倒をみているのか」「まことに失礼ですが」と男はちょっとひらき直った...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...そこもとはいかなる職権でさようなことを要求されるのか」「失礼ですが...
山本周五郎 「風流太平記」
...失礼ですが旦那は東京のお方で……ハハア...
夢野久作 「悪魔祈祷書」
...「失礼ですが、あなたは当家のお主魯粛どのではありませんか」周瑜がいんぎんに問うと、魯粛は豊かな眼をそそいで、「いかにも、てまえは魯粛ですが、してあなたは」「呉城の当主、孫権のお旨をうけて、突然お邪魔に参ったもの...
吉川英治 「三国志」
...「失礼ですが、それまでに、貴公はどこでどういうご修行をつまれたので……?」「修行などというほどなことはしておりませんが、養家(ようか)の貧(ひん)したため十五歳で京都の妙心寺(みょうしんじ)に小僧にやられ、名を十竹(じっちく)ともらい、笈(おいずる)を負うて、若いあいだ、南都(なんと)、高野(こうや)、諸山を遍参(へんさん)して、すこしばかり仏法をかじったり、一切経(いっさいきょう)を読んでみたり、また論語(ろんご)にしがみついたりしましたが――ふと、国学にはいって、この皇国(みくに)の真髄を明示されてから、断然、髪をたくわえて、江戸にのぼりました...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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