...なかば失われた彼の意識は空の大きなガラス瓶の中をのぞいたときのように塵一本もうかがえぬような透明さと静けさにかえってゆく大宇宙の姿を脳裏に描いてみるとともに...
海野十三 「放送された遺言」
...慷堂が俺から失われたとき...
高見順 「いやな感じ」
...この人からどんな微妙な能力が永久に失われたのか...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...しかしアースやアンテナを引っぱり廻わす事なしに役に立つ感度の好い機械としての価値はもう永久に失われたようである...
寺田寅彦 「ラジオ雑感」
...又世界各国で見失われた結婚の物質的地盤などを...
戸坂潤 「社会時評」
...何より貴重な日本人の生命が大量的に失われたりして...
戸坂潤 「社会時評」
...実際そのときにはどんな恐ろしいことがもちあがるかもしれぬ――犯罪者の絶望的な心に信仰が失われたら...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...失われた幻、悪用され濫用された、多くの力や青春や名誉や信念や犠牲の熱望――無意義な職業...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...むしろ意識が失われたようにさえ思われた...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...これこそ失われた世界への入口なのである...
中谷宇吉郎 「イグアノドンの唄」
...村上天皇の頃になると全く失われたようである...
橋本進吉 「国語音韻の変遷」
...その写真も共に失われた...
堀辰雄 「花を持てる女」
...その原因が何であるにせよ今ではもはやいかんとも出来ない出来事により失われた...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...家が戦災で失われた方々も少くないでしょう...
宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
...ただ題号を刻した紙が失われたので...
森鴎外 「渋江抽斎」
...失われた美の目標を指示するものは...
柳宗悦 「工藝の道」
...この失われたる事実を詳(つまびら)かにすべきは当然である...
柳田国男 「木綿以前の事」
...しかしなにもかも取返しがたく失われた...
山本周五郎 「失蝶記」
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