...想像も及ばぬパッションにのたうち回ってうめき悩むあの大海原(おおうなばら)――葉子は失われた楽園を慕い望むイヴのように...
有島武郎 「或る女」
...臭(にお)いの跡づけが失われた...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...これがために失われた三十秒ないし二分の埋め合わせはおそらく目的地に着く前にすでについてしまいそうに思われる...
寺田寅彦 「電車の混雑について」
...しかしアースやアンテナを引っぱり廻わす事なしに役に立つ感度の好い機械としての価値はもう永久に失われたようである...
寺田寅彦 「ラジオ雑感」
...失われた手がかりを見つけるまで...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...空も地も失われた熱風と異臭の空間を七つに潜り流れるゆるい水の移動...
峠三吉 「原爆詩集」
...ブルジョア文学は失われた自我の捜索の結果...
戸坂潤 「日本の民衆と「日本的なるもの」」
...情濃(こま)やかなる君にしてこの子を失われた時の感情はいかがであったろう...
西田幾多郎 「我が子の死」
...長崎に失われた貴き犠牲も浮び上ることになるのである...
仁科芳雄 「原子力の管理」
...お前の生は失われた...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...とプルタークの失われた書の断片の中ですでにひとりのギリシアの哲学者がいっている...
三木清 「マルクス主義と唯物論」
...人々は(アメリカの)失われた繁昌...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...失われた友との対話として生れ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...原料が失われたら...
柳宗悦 「民藝四十年」
...亭主の影の見失われた溝(どぶ)から黒い泥飛沫(どろしぶき)がたかくあがった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...他の開口部は疑いなく失われた機械装置――暖房...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...外世界の夜に親しんでいた極光が失われた埋め合わせとなったのは疑いない...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...町の平和は失われた...
和辻哲郎 「鎖国」
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