...そして太棹の調子を合しながら...
薄田泣菫 「茶話」
...さつき太棹の弾き語りをして帰つた女があつたぢやありませんか...
薄田泣菫 「茶話」
...あわれこの人男子と生れて太棹(ふとざお)を弾きたらんには天晴(あっぱ)れの名人たらんものをと嘆(たん)じたという団平の意太棹は三絃芸術の極致にしてしかも男子にあらざればついに奥義(おうぎ)を究むる能(あた)わずたまたま春琴の天稟(てんぴん)をもって女子に生れたのを惜(お)しんだのであろうか...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...そこまでびんびんと響いて来る時代後(おく)れな太棹(ふとざお)の余韻に反抗するような気持で云った...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...あでやかな姿に似合わぬ太棹(ふとざお)の師匠のような皺嗄(しわが)れた声...
谷崎潤一郎 「秘密」
...あの太夫の声の音色が義太夫の太棹(ふとざお)の三味線の音色とぴったり適合していることである...
寺田寅彦 「雑記帳より(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...女の音〆(ねじめ)には似も寄らぬ正しき太棹(ふとざお)の響折々漏れ聞ゆるにぞ談話は江戸俗曲の事また先頃先生のさる書肆(しょし)より翻刻を依頼せられしといふ『糸竹初心鈔(しちくしょしんしょう)』がことより...
永井荷風 「書かでもの記」
...太棹(ふとざお)をやっている」全く珍しいことです...
中里介山 「大菩薩峠」
...不意に太棹の音を聞かせようなんぞとは...
中里介山 「大菩薩峠」
...太棹(ふとざお)は...
中里介山 「大菩薩峠」
...上方(かみがた)の検校(けんぎょう)さんの地唄(じうた)にでも聴かれそうな太棹(ふとざお)かとも思う...
夏目漱石 「草枕」
...太棹(ふとざお)の張代えを持って来て見せていた...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...太棹(ふとざを)の三味線でも聴いてゐるやうに...
林芙美子 「浮雲」
...森新之助も、それにかぶれて、自分もはじめていたので、たまたま、見台や肩衣、太棹の類が、「飛鳥」にあったわけである...
火野葦平 「花と龍」
...太棹の流しを試みては歩行してゐるをんな...
正岡容 「山の手歳事記」
...ここで下座の女に太棹の三味線を弾かせ...
正岡容 「寄席行燈」
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