...海老屋(えびや)の屋根の天水桶(おけ)の雪の遠見ってのがありました...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...屋根へ登っている人もあったし、二階から、天水桶の上から、石の上に、柱に縋りついて――「見えた」一人が叫ぶと、人々は背延びして、往来の真中へ雪崩れ出して、足軽に叱られたり――槍が、陽にきらきらしていたし、馬上の士の陣笠、罪状板が見えてきた...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...今度は天水桶に突き当ろうとして...
中里介山 「大菩薩峠」
...私はこの天水桶の蔭に隠れておりますから...
中里介山 「大菩薩峠」
...米友の隠れている天水桶の前を...
中里介山 「大菩薩峠」
...その点において、米友も、弥勒寺長屋以来、相当に心得たもので、その俊敏な小躯(しょうく)を、或いは軒の下、天水桶の蔭、辻の向う前、ひらりひらりと泳いで渡る机竜之助の如く、戸の透間から幻となって立ち出づる妖術(?)こそ知らないが、米友としても、天性の達人である、心得て歩きさえすれば、滅多なものに尻尾をつかまれるような歩き方はしない...
中里介山 「大菩薩峠」
...天水桶(てんすいおけ)を攪(か)き混(ま)ぜたくらいの価値はその色の上において充分あらわれている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...天水桶の方に、突っ立っている若造(わかぞう)が二人いる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...そして天水桶のあったあたりには...
新美南吉 「最後の胡弓弾き」
...天水桶から水を汲み出して消しましたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...向うの天水桶の蔭だよ」八五郎は思わず小僧の指さす方に眼を向けました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの天水桶の傍まで行くうち...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...天水桶の蔭へ私と並んで立って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...天水桶の蔭にお雪をつれ出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...下の天水桶は鋳鉄(いもの)が多かった...
長谷川時雨 「大丸呉服店」
...暮春の月ゆらぐ天水桶に媚しいその面写して慨いてゐる国芳腐心の構図もあつた...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...雨水溜(だ)めの天水桶を踏み台にして...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...五間ほど離れた天水桶の蔭に...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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