...小室は如斯場合にも猶丹濃の態度に目を留めてか天晴れな壯年よと感嘆した...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...天晴れ実業家に成りすましたつもりで東京に出て来た...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...天晴れ御宿老たるのお面目をほどこして御退出なさるのが常のことでございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...天晴れの舞ひを一さし舞ひ...
太宰治 「お伽草紙」
...天晴れ上流の客あしらひをしてゐるつもりのケチくさい小利口の大馬鹿野郎どもに...
太宰治 「お伽草紙」
...留守番とはいひながら天晴れ一夜の別荘生活をしたのであつた...
寺田寅彦 「蓑田先生」
...大将の近藤なんぞも、島原から綺麗(きれい)なのを引っこぬいて、あちらこちらへ手活(ていけ)の花としてかこって置くというじゃがあせんか、うまくやってやがら」四谷とんびが、指で丸い形をこしらえながら、こう言って狂い出したものですから、三人の壮士も、もう黙って聞いてはいられなくなって、南条力が、「これこれ旅の老人――君はどなたか知らんが、近藤勇の同郷とか名乗っておられる、それでどうして、さように近藤の棚卸しをするのだ、もとより近藤だとて聖人君子ではないが、君のいうところによると、一から十まで金銭で動く無頼漢としか映っていないようだ、拙者も知っているが、近藤はそういう下品な人物ではない、彼の書いた書もある、詩もある――百行所依孝与忠(百行の依る所は孝と忠となり)取之無失果英雄(これを取つて失無くんば果して英雄)英雄縦不吾曹事(英雄は縦(よ)し吾曹(わがそう)の事にあらずとも)豈抱赤心願此躬(豈(あに)赤心を抱いて此の躬(み)を願はんや)立派なものじゃないか、志も正しいし、謙遜の奥床しさもある、書もなかなかよく書いていた、天晴れの豪傑だ...
中里介山 「大菩薩峠」
...天晴れて無雲無風...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...天晴れて谷の空気が透徹する時には...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...敵ながら天晴れというより仕方がない...
中谷宇吉郎 「雪協議会の報告」
...まア、しかし、おれの弱点をついて、洒落た手紙でおれを釣りよせるなんてえのは、敵ながら天晴れ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...どうか、それを承知で預ってもらいたい」兄哥は、納得しない顔で、「手前のような大きな図体(ずうたい)のやつを預ったうえに、日に一分ずつ払うのだと?……そんな割の悪い話はねえ」「おお、その理屈がわかるというのは、見あげたものだ、天晴れ、天晴れ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...空手で野郎の総まくりなンてのは天晴れ天晴れ...
久生十蘭 「湖畔」
...天晴れなる振る舞いかと...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...「天晴れだぞ!」閣下がを撫でてあたしといつしよに空を仰いだ時...
牧野信一 「鵞鳥の家」
...「天晴れな修業者と見た...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...我ながら天晴れ天晴れ感服感服の至りである...
正岡容 「わが寄席青春録」
...さすがは音に聞こえたテノールだけあって天晴れな歌いぶりだったとか...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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