...上古の呪ひには斯る作法も種々有ただらうが、追々作法を廢して口計りで詛言を吐く事と成たは、同じ物語に、昔し男、宮の中にて或る御達(ごたち)の局の前を渡りけるに、何の仇にか思ひけん、よしや草葉のならんさが見んと云ければ、男「罪もなき人をうけひば忘れ草おのが上にぞおふと云なる、」是は一話一言十八に、童部の誓言に、大誓文齒腐れ、親の頭に松三本と云るは、頭に松を生ずる事には非じ、墓の木の拱せるを云るなるべしと有る如く、自死し墓の上に忘れ草が茂れと詛ふためだろ、忘れ草を墓に栽ゑた話は今昔物語三一に出づ...
南方熊楠 「詛言に就て」
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