...いのちの中樞を貫く、大らかな、深い、靜かな、忘我によつて實在の底を搜る心を解する者の一路である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...大らかに、ゆるやかに、深く、靜かに歩みを運ぶことの、喧噪しながら、焦躁しながら、他人の面上に唾を吐きかけながら、喚叫しながら、驅け出すよりも更に尊いことを教へた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...あいつの先妻だった僕の妹は、おとなしい、すばらしい女で、まるであの青空のように清らかで、気高くって、大らかで、あいつの弟子どもよかもっと沢山、崇拝者があったものだ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...そりゃあ鯛や鱸(すずき)には大らかなうまさはあるが...
壺井栄 「瀬戸内の小魚たち」
...くったくのない娘(むすめ)のように大らかに...
壺井栄 「二十四の瞳」
...大船を浮べて碇泊した大らかな気持...
中里介山 「大菩薩峠」
...大らかに胸を張り...
牧野信一 「まぼろし」
...しかし深い上にもこの谷は大らかな抱擁性を持っている...
松濤明 「春の遠山入り」
...大らかな虹の光りの下に立つ愛の歓喜が心情の純粋に重吉とひろ子とのものであって...
宮本百合子 「解説(『風知草』)」
...些も小野小町らしい大らかさも...
宮本百合子 「気むずかしやの見物」
...御自分が本当に安心して大らかな心持でいらっしゃれるのは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...なおさら大らかに先頭へ立ち...
吉川英治 「上杉謙信」
...至極大らかな顔して...
吉川英治 「新書太閤記」
...けれど、その文字の、天真(てんしん)らんまんで、なんの、見えも、小細工もなく、大らかな、気ままいっぱいな筆つきであることにも、何か、びっくりさせられた...
吉川英治 「新書太閤記」
...大らかな正義を見出した心地だった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...大らかに飲み遊ぶ...
吉川英治 「天皇と競馬」
...大鼓(おおかわ)や小鼓(こつづみ)の大らかな響きが流れて来る...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...と我等の歩いている渓向うに大らかに峰を張って朝日を浴びた木深い山を指さしながら...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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