...いのちの中樞を貫く、大らかな、深い、靜かな、忘我によつて實在の底を搜る心を解する者の一路である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...大らかに、ゆるやかに、深く、靜かに歩みを運ぶことの、喧噪しながら、焦躁しながら、他人の面上に唾を吐きかけながら、喚叫しながら、驅け出すよりも更に尊いことを教へた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...彼の心の底からは、一切を包み、愛し、許したいと思ふやうな、大らかな、寛やかな心持が、この秋の日の七里ヶ濱の波のやうに靜かに搖りあげて來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...わたしの伐採地から見たところ空は平日とおなじく永遠に大らかなながめにすぎなかったが...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...信心者の大らかさでもあり...
中里介山 「大菩薩峠」
...大らかに胸を張り...
牧野信一 「まぼろし」
...些も小野小町らしい大らかさも...
宮本百合子 「気むずかしやの見物」
...御自分が本当に安心して大らかな心持でいらっしゃれるのは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...なおさら大らかに先頭へ立ち...
吉川英治 「上杉謙信」
...もつとも祝祭日氣分も大らかだつたことをおもふ...
吉川英治 「折々の記」
...次なる太閤時代に大らかな暁(あかつき)を告げていた...
吉川英治 「剣の四君子」
...至極大らかな顔して...
吉川英治 「新書太閤記」
...自己の正月を大らかにするものだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...けれど、その文字の、天真(てんしん)らんまんで、なんの、見えも、小細工もなく、大らかな、気ままいっぱいな筆つきであることにも、何か、びっくりさせられた...
吉川英治 「新書太閤記」
...大らかな正義を見出した心地だった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...大らかに飲み遊ぶ...
吉川英治 「天皇と競馬」
...と我等の歩いている渓向うに大らかに峰を張って朝日を浴びた木深い山を指さしながら...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...この上体を静寂な調和のうちに安置する大らかな結跏(けっか)の形といい...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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