...大らかに、ゆるやかに、深く、靜かに歩みを運ぶことの、喧噪しながら、焦躁しながら、他人の面上に唾を吐きかけながら、喚叫しながら、驅け出すよりも更に尊いことを教へた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...彼の心の底からは、一切を包み、愛し、許したいと思ふやうな、大らかな、寛やかな心持が、この秋の日の七里ヶ濱の波のやうに靜かに搖りあげて來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...くったくのない娘(むすめ)のように大らかに...
壺井栄 「二十四の瞳」
...人間の宿命を思う大らかな表情が...
火野葦平 「花と龍」
...しかしその内容は何れも大らかなのびのびした強烈ではあつても単純な古代人の情操を出るものはなく...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...次第にそれが大らかになつてゐるやうである...
牧野信一 「浅原六朗抄」
...大らかな虹の光りの下に立つ愛の歓喜が心情の純粋に重吉とひろ子とのものであって...
宮本百合子 「解説(『風知草』)」
...些も小野小町らしい大らかさも...
宮本百合子 「気むずかしやの見物」
...御自分が本当に安心して大らかな心持でいらっしゃれるのは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...なおさら大らかに先頭へ立ち...
吉川英治 「上杉謙信」
...もつとも祝祭日氣分も大らかだつたことをおもふ...
吉川英治 「折々の記」
...大らかに飮み遊ぶ...
吉川英治 「折々の記」
...次なる太閤時代に大らかな暁(あかつき)を告げていた...
吉川英治 「剣の四君子」
...至極大らかな顔して...
吉川英治 「新書太閤記」
...自己の正月を大らかにするものだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...わあっという頗る大らかな喊声(かんせい)がきこえた...
吉川英治 「新書太閤記」
...けれど、その文字の、天真(てんしん)らんまんで、なんの、見えも、小細工もなく、大らかな、気ままいっぱいな筆つきであることにも、何か、びっくりさせられた...
吉川英治 「新書太閤記」
...大らかな正義を見出した心地だった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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