...身邊を繞つて流れる雰圍氣をば大らかに呼吸する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...いのちの中樞を貫く、大らかな、深い、靜かな、忘我によつて實在の底を搜る心を解する者の一路である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...大らかに、ゆるやかに、深く、靜かに歩みを運ぶことの、喧噪しながら、焦躁しながら、他人の面上に唾を吐きかけながら、喚叫しながら、驅け出すよりも更に尊いことを教へた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...彼の心の底からは、一切を包み、愛し、許したいと思ふやうな、大らかな、寛やかな心持が、この秋の日の七里ヶ濱の波のやうに靜かに搖りあげて來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...あいつの先妻だった僕の妹は、おとなしい、すばらしい女で、まるであの青空のように清らかで、気高くって、大らかで、あいつの弟子どもよかもっと沢山、崇拝者があったものだ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...しかしその内容は何れも大らかなのびのびした強烈ではあつても単純な古代人の情操を出るものはなく...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...次第にそれが大らかになつてゐるやうである...
牧野信一 「浅原六朗抄」
...しかし深い上にもこの谷は大らかな抱擁性を持っている...
松濤明 「春の遠山入り」
...大らかな虹の光りの下に立つ愛の歓喜が心情の純粋に重吉とひろ子とのものであって...
宮本百合子 「解説(『風知草』)」
...澄み輝き大らかな月が...
宮本百合子 「黒い驢馬と白い山羊」
...何処までも 繊細に 何処までも 鋭く而も大らかに 生命の光輝を保つことこそ人間は...
宮本百合子 「五月の空」
...御自分が本当に安心して大らかな心持でいらっしゃれるのは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...天性あまりにも大らかな心・あまりにも高い運命になれた心・を持っていたために...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...もつとも祝祭日氣分も大らかだつたことをおもふ...
吉川英治 「折々の記」
...大らかに飮み遊ぶ...
吉川英治 「折々の記」
...大らかな正義を見出した心地だった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...この上体を静寂な調和のうちに安置する大らかな結跏(けっか)の形といい...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...暗紅の衣は大らかに波うちつつ両肩から腕に流れ...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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