...私は夢魔に襲われたという夢を見た...
...夢魔と闘う勇敢な夢を見たことがある...
...彼女は夢魔のせいで眠れなくなってしまった...
...あの映画に出てくる夢魔が怖かった...
...夢魔に取り憑かれたように不気味な体験をした...
...こは夢魔のみ...
芥川龍之介 「北京日記抄」
......
谷崎潤一郎 「細雪」
...天網のごとく、夢魔のごとく、運命の神のごとく恐ろしいものは絹蒲団である...
寺田寅彦 「柿の種」
...アミエルは、ミゼラブルの雄大なる構想を支配する中心思想を知ろうと思って、三千五百頁のあの大冊を幾度も繰返して読んだ後に、こういうことを言いました、ヴィクトル・ユーゴーは、効果を以てその美学論の中心としているから、作がこれによって煩わされている、然(しか)しヴィクトル・ユーゴーは何という驚くべき言語学的・文学的能力の所有者か――地上及び地下に於ける驚異すべきものを彼は悉(ことごと)く知っている、知っているだけではない、それと親密になっている、たとえば巴里(パリ)の都のことに就いても、あの町々を幾度も幾度も、裏返し、表返して、ちょうど人が自分のポケットの中身をよく知っているように巴里を知っている、彼は夢みる人であると同時に、その夢を支配することを知っている、彼は巧(たく)みに阿片や硫酸から生ずる魔力をよび出しはするが、それの術中に陥ったためしがない彼は発狂をも自分のならした獣の一匹として取扱うことを知っている、ペガサスでも、夢魔でも、ヒポクリッフでも、キミイラでも、同じような冷静な手綱(たづな)を以て乗り廻している、一種の心理的現象としても彼ほど興味ある存在はあまりない、ヴィクトル・ユーゴーは硫酸を以て絵画を描き、電光を以てこれを照らしている、彼は読者を魅惑し、説得するというよりは、これを聾(ろう)せしめ、これを盲せしめ、そうして幻惑せしめている、力もここまで進んで来れば、これは一種の魔力である、要するに彼の嗜好(しこう)は壮大ということにあり、彼の瑕瑾(かきん)は過度ということにある――アミエルはこういうようなことを言っているのでありますが、私は、大菩薩峠の著者に就いてはなお以上のことが言えると思うのです」「それは私の知らないことだ、わたしは大菩薩峠なるものを読んでいない」声明学(しょうみょうがく)の博士は、季麿秀才の感情に走るを制するかのように、その論鋒をおさえて、「私にこういう経験があるのです、私が若い頃、宮中に勤める身でありまして、ここの上人(しょうにん)に就いて声明学を研究しようと思って、京都の今出川から、毎日毎夜、ここへ通いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...恋を知らない街上の笑ひ者なる爺やんは赤ちやけた麦藁帽をアミダにかぶりハツハツハツ「夢魔」てえことがあるものかその日蝶々の落ちるのを夕の風がみてゐました思ひのほかでありました恋だけは――恋だけは...
中原中也 「想像力の悲歌」
...みじめなる青猫の夢魔にすぎない...
萩原朔太郎 「青猫」
...さびしいまつ暗な自然の中で動物は恐れにふるへなにかの夢魔におびやかされかなしく青ざめて吠えてゐます...
萩原朔太郎 「青猫」
...ああ なににあこがれもとめてあなたはいづこへ行かうとするかいづこへ いづこへ 行かうとするかあなたの感傷は夢魔に饐えて白菊の花のくさつたやうにほのかに神祕なにほひをたたふ...
萩原朔太郎 「青猫」
...恐ろしい夢魔に惱まされてる...
萩原朔太郎 「宿命」
...東洋人の宗教的歸依が心象する夢魔である...
萩原朔太郎 「宿命」
...そはひとつのさびしい青猫君よ夢魔におびえて このかなしい戲れをとがめたまふな...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...水ヲ下サイ……水ヲ下サイ……水ヲ下サイ……水ヲ下サイ……それは夢魔のやうに彼を呻吟させた...
原民喜 「永遠のみどり」
...それをとりまく広漠たる夢魔が入り混っていた...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...すべてが新しい夢魔に似た現象なのだろうか...
原民喜 「鎮魂歌」
...今見た屍体が夢魔のやうな鮮かさで何時までも瞼から離れなかつた...
北條民雄 「道化芝居」
...とうとう心臓の上にまったくわけのわからない恐怖の夢魔が坐(すわ)った...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...その残酷な馭者との直下の眼下から深潭(しんたん)のように広漠とした夢魔を堪えていた...
牧野信一 「ゼーロン」
...彼は正体もなくよだれをたらしてやがて夢魔にひきずりこまれていた...
吉川英治 「新・水滸伝」
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