...夜気に沈んだ薄墨の石燈籠の大きな蓋のように何処までも行儀よく並んだのが...
泉鏡花 「遺稿」
...夜気は――夜気は略(ほぼ)似て居るが...
泉鏡花 「遺稿」
...火のように上気した僕の頬を夏の夜乍ら冷々(ひやひや)と夜気がうちあたるのを感じました...
海野十三 「壊れたバリコン」
...早春の地中海の夜気を呼吸して...
谷譲次 「踊る地平線」
...いつも夜の四つ時すなわち午後十時には店員たちと共に眠りにつき午前三時頃に眼を覚まして三味線を抱(かか)えて物干台に出るそうして冷たい夜気に触(ふ)れつつ独習を続け東が仄(ほの)かに白み初(そ)める刻限に至って再び寝床に帰るのである春琴の母が聞いたのはそれであった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...しん/\と夜気のしみ入る中に首をうなだれた儘...
谷崎潤一郎 「少年」
...わけもなく懐かしい植物性の香気の立ち薫(かお)っているような夜気の流通を呼吸しながら...
近松秋江 「黒髪」
...少し酒にほてった身で夜気を吸いながら...
豊島与志雄 「在学理由」
...白い障子紙がそのまま夜気を受けてさらされている色は...
中里介山 「大菩薩峠」
...駒井甚三郎は満面に触るる夜気を快しとしました...
中里介山 「大菩薩峠」
...冷たい夜気に籠って...
野村胡堂 「青い眼鏡」
...やがて深い夜気が天地を撫で...
牧野信一 「凩日記」
...晩秋の夜気は、しんと沁み通るようだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...俄(にわか)に樹々が新緑につつまれて夜気の中で巻葉のほぐれる戦(そよ)ぎがきこえるような夜を思い出します...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...長く夜気にあたることもつらくなった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...墨のような濃い夜気を曳き...
吉川英治 「大岡越前」
...夜気のしじま……」「お気づかいなされますな...
吉川英治 「私本太平記」
...寒梅の香をふくむ冷(ひや)やかな夜気がそこへ浸(ひた)ってくる...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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