...夜気は――夜気は略(ほぼ)似て居るが...
泉鏡花 「遺稿」
...帰つてくれたのだ」彼女は何かの香気のこもつてゐさうな夜気を大きく吸ひながら...
犬養健 「朧夜」
...庭の夜気は妙になまぬるかった...
梅崎春生 「黄色い日日」
...気の狂ったようにバタバタとはためく窓を犯して吹込む騒々しい夜気(よき)が長い炎をユラユラと流れ旗のように揺めかした...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...底冷えのきびしい明け方ちかくの夜気に蒼白(あおざ)めて...
徳田秋声 「爛」
...重く澱んでる凉しい夜気が...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...夜気が冷く頬に触れた...
豊島与志雄 「裸木」
...ひやひやする夜気に肌をさらしながら時のたつのも忘れて驚嘆をつづけた...
中勘助 「銀の匙」
...夜気に当っては毒と存じ申した故」「いやどうも...
中里介山 「大菩薩峠」
...白々と酔つてゐる頭を微風のある夜気の中に風船のやうに漂はせてゐた...
牧野信一 「街角」
...それを見る為に冷たい夜気に当って感冒をひき...
山本周五郎 「青べか日記」
...一ぷくの煙草を美味そうに夜気の中へ吐き流している若ものの姿も見えた...
横光利一 「夜の靴」
...墨のような濃い夜気を曳き...
吉川英治 「大岡越前」
...粛々(しゅくしゅく)と夜気を忍んでくる様子だった...
吉川英治 「三国志」
...すべて墨(すみ)を刷(は)いたような森閑(しんかん)たる夜気ではないか...
吉川英治 「私本太平記」
...夜気(やき)のふかい館(たち)のあなた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ばりっと寂(しずか)な夜気をやぶって...
吉川英治 「親鸞」
...夜気冷やかに瞬(またた)いている二基(き)の常夜燈...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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