...かくして十五歳の夏から約半歳の間は幸い同室の朋輩の外に誰にも知られずに済んだのであったがその年の冬に至って一つの事件が起ったある夜明け方と云っても冬の午前四時頃まだ真っ暗な夜中も同然の時刻に...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...宿の夜明け方に時鳥(ほととぎす)を聞いた...
寺田寅彦 「浅間山麓より」
...夜明け方に俺は夢をみた...
豊島与志雄 「神棚」
...かつて申し合わせておりました時刻違えることなくこの夜明け方...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...テムプル先生が夜明け方...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...物みなが凍てついて静まり返った零下二十度からの夜明け方にあちこちの樹の幹と言わず...
三好十郎 「樹氷」
...夜明け方から病になって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...まだ川洲(かわす)の砂に千鳥の足痕(あしあと)さえない夜明け方に...
吉川英治 「江戸三国志」
...夜明け方、自身番の六兵衛さんに、こうこうだと、早耳に聞いたから、それッ行って見ろってンで、経師屋の安さんや棟梁の吉(きち)さんなんかと、松坂町のすぐそばの回向院(えこういん)前まで行って見て来たんだ...
吉川英治 「大岡越前」
...まだ陸にも川にも往来の少い夜明け方小舟で...
吉川英治 「魚紋」
...夜明け方、そこを出発なさろうと準備していると、「敵だッ」と、思わぬ声が走った...
吉川英治 「三国志」
...その船は、夜明け方には、もう大坂の安治川(あじがわ)へはいっているだろう...
吉川英治 「新書太閤記」
...夜明け方の五時頃から開始されて...
吉川英治 「新書太閤記」
...玄蕃にいいふくめて、途中に兵を埋伏(まいふく)し、夜逃げの秀吉を急襲して、一挙に後の禍(わざわい)を絶ち、ここ腹いッぱい溜っている鬱(うつ)を晴らせるものと、夜明け方まで、(今か...
吉川英治 「新書太閤記」
...「夜明け方の合戦は...
吉川英治 「新書太閤記」
...もう目的は達したから、あとは、全軍に命じて、諸所の消火にあたらせよう」かくて、夜明け方には、市中の火は、あらかた消しとめられたが、なお焔々(えんえん)と燃えてやまないのは、北京城の瑠璃(るり)の瓦、黄金の柱、官衙(かんが)の建物などだった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――日は明日(あした)の夜明け方となっていた」「……又八」「なんだい」「汝(わ)れは...
吉川英治 「宮本武蔵」
...夜明け方になつてわたくしたちは初めて有明の月影のみを窓の下の流れに見る...
吉田絃二郎 「八月の霧島」
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