...着飾(きかざ)った芸者たちがみがき上げた顔をびりびりするような夜寒(よさむ)に惜しげもなく伝法(でんぽう)にさらして...
有島武郎 「或る女」
...夜寒の季は、綺譚完結直後の作を裏書きする...
心猿 「荷風翁の發句」
...思ひ佗(わ)び此夜寒しと寝まりけり夜寒さを佗びてはなひる許(ばか)りなり十月二十三日 「玉藻十句集(第三十三回)」野を浅くわたりし裾(すそ)に草じらみ老ぬればあたゝめ酒も猪口一つ十月二十三日 玉藻俳句会...
高浜虚子 「五百五十句」
...日ごとにつのる夜寒(よさむ)をしのぐことができなかった...
田山花袋 「田舎教師」
...君まさぬ端居やあまり数多き星に夜寒を覚えけるかな夫の留守を一人縁に出て涼んでゐたが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それを啼き初めの弱い声をきいて蟋蟀も夜寒を感じてゐると思ふのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...やけくそに夜寒の井戸端でザブザブ水を浴びると圓朝は...
正岡容 「小説 圓朝」
...きんつばの行燈暗き夜寒かな淡路町に来れば古画を掛け古書を並べて此たぐひの店こゝの名物なり...
正岡子規 「夜寒十句」
...樫の木の中に灯ともる夜寒かな家に帰りつく...
正岡子規 「夜寒十句」
...「うちの酒は、三斎隠居の邸(やしき)の奴より、うまくはねえかも知れねえが、又、別な味があるかも知れねえ、夜寒むしのぎに、ひっかけて行って下せえ」雪之丞は、白く、かぼそい手で、なみなみと満たされた湯呑を取り上げた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...夜寒むに胴ぶるいをしながら佇(たたず)んでいたが...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...夜寒を感じるのであった...
宮城道雄 「私の若い頃」
...夜寒の頃なれば、庭に火を焚(た)きてあたり居けるに、何者とも知れず、其たけ六尺あまりにて、老いたる人の如くなる者来りて、黙然とかの火によりて、鼻をあぶりてつくばひたり...
柳田国男 「山の人生」
...夜寒(よさむ)の虫声だけだった...
吉川英治 「私本太平記」
...夜寒をしのいでいたが...
吉川英治 「新書太閤記」
...夜寒(よさむ)をふせぎ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...隅田川から入ってくる猪牙舟(ちょき)や屋形船(やかた)が夜寒の灯を伏せて漕ぎぬけてゆく...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...目をさますといけませんから……」カラカラと夜寒に下駄をひびかせて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索