...往来には厨(くりや)の煙とも夕靄(ゆうもや)ともつかぬ薄い霧がただよって...
有島武郎 「或る女」
...もう夕靄(ゆうもや)がせまっています...
高神覚昇 「般若心経講義」
...今は半ばエルのやうな夕靄に包まれたその田舎町が...
田山録弥 「赤い鳥居」
...先刻(さっき)から音もなく降って居た繊(ほそ)い雨の其まゝ融(と)けた蒼(あお)い夕靄(ゆうもや)を眺めて居ると...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...遠い夕靄のうちに流れ迄んでゆく...
豊島与志雄 「月明」
...夕靄(ゆうもや)のおりるのを待ってパン屋へ行き...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...早くも立迷ふ夕靄の底からきらめき初める...
永井荷風 「町中の月」
...立迷う夕靄(ゆうもや)に水辺の町はわけても日の暮れやすく...
永井荷風 「雪の日」
...引返そう」「無駄だ」平次は黙って夕靄(ゆうもや)の中を眺めております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夕靄(ゆふもや)の中には親分の平次...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...このあたりも……)夕靄(ゆうもや)のなかに炎の幻が見えるようだった...
原民喜 「死のなかの風景」
...薄い夕靄がおりているばかり...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...街道の夕靄の中へ紛れこむ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...夕靄が谷間や山蔭の村の上に漂って...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...暖かい夜の夕靄(ゆうもや)さえそぞろに下りていた...
室生犀星 「津の国人」
...と親馬も又立ち止つて長く嘶き互に嘶き合つて一つ/\夕靄の中に消えて行く...
吉江喬松 「山岳美觀」
...彼方から女の影が夕靄(ゆうもや)につつまれてくる...
吉川英治 「宮本武蔵」
...不吉の前兆のような、無気味な静(しずか)さが、原っぱの上全体に押しかぶさって、夕靄が、威圧するように、あたりを罩(こ)めていた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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