...急に夏羽織の腰を擡(もた)げて...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...夏羽織の肩を摺り合せて...
芥川龍之介 「妖婆」
...夏羽織の裾を飜(ひるがえ)しながら...
芥川龍之介 「妖婆」
...白絣(しろがすり)に夏羽織をお召しになって診察にいらした...
太宰治 「斜陽」
...縞(しま)の単衣(ひとえ)に古びた透綾(すきや)の夏羽織を着て...
田山花袋 「田舎教師」
...卿(おめえ)の所へでも往くだね」と縞(しま)の夏羽織を着た矮(ちいさ)い真黒な六十爺さんの顔を仁左衛門さんは見る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...黒一ツ紋の夏羽織...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...久米君は手早く夏羽織(なつばおり)の裾(すそ)と袂(たもと)をからげるや否や身軽く鉄条綱の間をくぐって向(むこう)へ出てしまった...
永井荷風 「日和下駄」
...白井は涼しい夕風に夏羽織の袂を吹かせながら...
永井荷風 「来訪者」
...私のやうな辺鄙の土地に居るものは晴衣の夏羽織を用ゐることはそれは滅多にないことなので幾年でも仕立てた儘に保存されて居るのである...
長塚節 「隣室の客」
...あの田の草取りだ昼間の暑い陽ざかりにジリジリの煮え湯の泥田を四つんばいになって這うて歩くのじゃ顔も手もぼんぼんにふくれ上がり爪の先がずくずくうずくだ六十ごけ婆がこのようにもがいても喰う米も無(ね)いんだその横で地主の奥様は夏羽織でお寺まいりなさるし...
中野鈴子 「母の手紙」
...紋付(もんつき)の夏羽織を着(き)た...
夏目漱石 「それから」
...内地でも朝夕は涼し過ぎて浴衣や夏羽織では見すぼらしくて仕方がない...
野口雨情 「札幌時代の石川啄木」
...外へ出ましょう」セルの上へ羽織った絽(ろ)の夏羽織を取って...
野村胡堂 「踊る美人像」
...大徳屋はあの日夏羽織を着て居たのか」平次は夏羽織の方に氣を取られて居る樣子です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八重垣町の縫物屋へ奥さんの夏羽織の仕立物を取りに行く...
林芙美子 「新版 放浪記」
...蝉のように薄い黒い夏羽織を着てはいって来た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...どう致していいか……」「これを肩へ掛けておいでなさい」彼は絽(ろ)の夏羽折をぬぎ...
山本周五郎 「契りきぬ」
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