...かくてその人は愛の逆用から来る冥罰(みょうばつ)を表面的な概念と社会の賞讃によって塗抹(とまつ)し...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...自在に塗抹せしめずてはかなはず...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...毛生藥の塗抹が終ると...
石川啄木 「散文詩」
...巧(たくみ)なる化粧にて塗抹(ぬりかく)すを常とせり...
泉鏡花 「活人形」
...色彩の塗抹は線が持ってくる効果よりも更に深く大きなものだと言うかも知れませんが...
上村松園 「日本画と線」
...丈夫さうな枝を縦横に延べてそれに細かい葉を塗抹したやうにつけて居る...
高浜虚子 「発行所の庭木」
...世界の地図からは海の色一色に塗抹(ぬりけ)されていた陸地……そして古来から未だただの一度も...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...揚句の果に自分は満身に金箔を塗抹して如来の尊容を現じ...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...如何なる場合にも寸毫(すんごう)も余の粉飾(ふんしょく)塗抹(とまつ)を加えなかった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...注入されたあらゆる賛美とあらゆる尊敬とを塗抹(とまつ)し...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...王の馬車から塗抹(とまつ)された百合(ゆり)の花...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...几帳面(きちょうめん)な塗抹(とまつ)主義を根気に実行したとすれば...
夏目漱石 「子規の画」
...クリームを塗抹(とまつ)して見たりいろいろの化粧をしてくれる専門家が出て来ましたが...
夏目漱石 「道楽と職業」
...下劣なる趣味を拘泥なく一代に塗抹(とまつ)するは学人の恥辱である...
夏目漱石 「野分」
...彼等(かれら)の未來(みらい)を塗抹(とまつ)した...
夏目漱石 「門」
...それから主人は鼻の膏を塗抹(とまつ)した指頭(しとう)を転じてぐいと右眼(うがん)の下瞼(したまぶた)を裏返して...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...裏には通二丁目山本と書して塗抹(とまつ)し...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...塗りつぶしきれないといふペンキ工の塗抹法と同列な考へ方から來たものかもしれない...
吉川英治 「折々の記」
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