...之を粉飾し塗抹する老人を見る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...かくてその人は愛の逆用から来る冥罰(みょうばつ)を表面的な概念と社会の賞讃によって塗抹(とまつ)し...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...巧(たくみ)なる化粧にて塗抹(ぬりかく)すを常とせり...
泉鏡花 「活人形」
...平常(いつも)のごとく化粧して頬の三日月は塗抹(ぬりけし)居たれど...
泉鏡花 「活人形」
...色彩の塗抹は線が持ってくる効果よりも更に深く大きなものだと言うかも知れませんが...
上村松園 「日本画と線」
...影は刻々にその以前の姿態と心持とを塗抹し...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...揚句の果に自分は満身に金箔を塗抹して如来の尊容を現じ...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...王の馬車から塗抹(とまつ)された百合(ゆり)の花...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...消滅する事物の塗抹(とまつ)のうちにも...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...眞鍮(しんちう)の箆(へら)で其(その)藥(くすり)を紙(かみ)へ塗抹(ぬ)つて患部(くわんぶ)へ貼(は)つてやつた...
長塚節 「土」
...したがって余の意識の内容はただ一色(ひといろ)の悶(もだえ)に塗抹(とまつ)されて...
夏目漱石 「思い出す事など」
...几帳面な塗抹主義を根氣に實行したとすれば...
夏目漱石 「子規の畫」
...クリームを塗抹(とまつ)して見たりいろいろの化粧をしてくれる専門家が出て来ましたが...
夏目漱石 「道楽と職業」
...下劣なる趣味を拘泥なく一代に塗抹(とまつ)するは学人の恥辱である...
夏目漱石 「野分」
...縦横に塗抹した日記と手紙ですぞ...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...加うるに二六時中四方の工場の煙突より吐き出ずる煙のためにその枝幹は黒く塗抹せられその葉面は黒煤を被ぶり為めにその桜樹の生気が断えず害せらるるので...
牧野富太郎 「植物記」
...裏には通二丁目山本と書して塗抹(とまつ)し...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...其改刪(かいさん)の処は必ず墨黒々と塗抹(とまつ)して刪(けづ)りたる字躰の毫も見えざる様にし...
山路愛山 「明治文学史」
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