...巧(たくみ)なる化粧にて塗抹(ぬりかく)すを常とせり...
泉鏡花 「活人形」
...平常(いつも)のごとく化粧して頬の三日月は塗抹(ぬりけし)居たれど...
泉鏡花 「活人形」
...稿本も、はじめは、初稿のまゝにて、たゞちに活字に付せむの心にて、本文のはじめなる數頁は、實にそのごとくしたりしが、數年前の舊稿、今にいたりて仔細に見もてゆけば、あかぬ所のみ多く出できて、かさねて稿本を訂正する事とし、訂塗抹すれば、二氏淨書してたゞちに活字に付し、活字は、初より二回の正とさだめたれば、一版面、三人して、六回の正とはなりぬ...
大槻文彦 「ことばのうみのおくがき」
...影は刻々にその以前の姿態と心持とを塗抹し...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...丈夫さうな枝を縦横に延べてそれに細かい葉を塗抹したやうにつけて居る...
高浜虚子 「発行所の庭木」
...揚句の果に自分は満身に金箔を塗抹して如来の尊容を現じ...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...徒(いたず)らに塗抹せられた強烈の色彩から感覚的刺戟を受けるのを喜んでいたに過ぎなかったというのか...
津田左右吉 「偶言」
...注入されたあらゆる賛美とあらゆる尊敬とを塗抹(とまつ)し...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...言わばその出生証書を塗抹(とまつ)したる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...塗抹ヲ善クスト雖モ...
中里介山 「大菩薩峠」
...眞鍮(しんちう)の箆(へら)で其(その)藥(くすり)を紙(かみ)へ塗抹(ぬ)つて患部(くわんぶ)へ貼(は)つてやつた...
長塚節 「土」
...下劣なる趣味を拘泥なく一代に塗抹(とまつ)するは学人の恥辱である...
夏目漱石 「野分」
...彼らの未来を塗抹(とまつ)した...
夏目漱石 「門」
...彼等(かれら)の未來(みらい)を塗抹(とまつ)した...
夏目漱石 「門」
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牧野富太郎 「植物一日一題」
...裏には通二丁目山本と書して塗抹(とまつ)し...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...其改刪(かいさん)の処は必ず墨黒々と塗抹(とまつ)して刪(けづ)りたる字躰の毫も見えざる様にし...
山路愛山 「明治文学史」
...塗りつぶしきれないといふペンキ工の塗抹法と同列な考へ方から來たものかもしれない...
吉川英治 「折々の記」
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